九州地区で土木を専攻する大学生がSNS(インターネット交流サイト)を通じて知り合い、「ツナガルドボク」と呼ぶ活動を始めた。
自らを「Civil Engineering Eggs」と名付けて業界最前線で活躍する技術者などと交流しながら、土木の新しい考え方や価値観を学生主体で見いだしていく。「土木×○○」の相乗効果の活動を志向する学生たちを取材した。
ツナガルドボクの発足は今年1月。「学生も土木の魅力を伝える役割を担えないか」と考えていた福岡大学4年の鳥越瑠奈さんが、SNSで知り合った大塚柚人さん(福岡大学大学院修士1年)、佐々木隆成さん(九州産業大学4年)に呼び掛け、土木を学ぶ学生とつながっていこうと立ち上げた。
大塚さん、佐々木さんは、土木技術の意義や魅力を広く伝える活動を一般社団法人として展開するツタワルドボク(福岡市博多区、片山英資会長)にも参加している。その活動に倣い、学生主体で土木を社会にアピールしていく活動を進めていくことにした。
ツナガルドボクは発足後、4月にホームページ()を開設し、会の目的や具体的な活動内容を発信。5月3日には、福岡市中央区のラマイプラウリゾート今泉店で発足会を兼ねた交流イベントを開いた。
イベントには学生と社会人を合わせた総勢33人が参加し、土木を巡る悩み、疑問、夢などを自由に語り合った。
会の代表に就任した鳥越さんは、「土木を学ぶ学生とつながりたいという思いを佐々木さん、大塚さんが受け止めてくれた」とし、「学生の行動力を持ってすれば、活動の輪はさらに広がると思う」と自信を見せる。
ツナガルドボクを通して世代や地域を越えた人たちとつながり、授業だけでは学ぶことができない、今まで知らなかったような土木の世界を知るきっかけにもしていきたいとする。
大塚さんは、九州だけでなく、全国の学生、社会人ともつながることを目標に「『土木を知る機会』を学生側から作って業界を引っ張る存在になりたい」と意欲を示す。
佐々木さんは国民の財産でもあるインフラを整備する建設業界は「米国などで医者より社会的地位がある」と指摘。学生が誇りを持って就職できるようにするためにも「伝える」ことの重要性を訴え、土木にまつわるマイナス面のイメージを払拭(ふっしょく)しながら、土木離れを改善できるような活動に力を入れていきたいと意気込む。
3人の設立メンバーと共に運営に携わる土井朋実さん(福岡大学3年)は「土木の魅力をもっと知りたいし、知ってもらいたい」とし各種活動を通じて土木の新しい価値観を見つけたいとする。川添光貴さん(宮崎大学4年)は「多くの学生が土木を好きになり、夢や目標が見つかる活動に取り組みたい」と話す。
今後本格化する活動の中で志向するのは「土木×○○」。大手建設コンサルタントとコラボレーションした座談会を8月にも開催しようと企画を進める。学生と社会人が小人数、もしくは一対一で討論するような機会にしたいという。「伝える」活動を推し進めるため、「ドボクと広告関係に関する内容」を討論する方向で詰めている。
ツナガルドボクに参加する学生をネパールに派遣し、現地の技術者や現地で活躍する日系企業の技術者と交流するほか、現地のインフラを巡るツアーも計画中。これらプロジェクトに掛かる費用をクラウドファンディングで調達する方向で8月末にも具体的な内容を公開する予定だ。こうした活動を展開しながら、学生、社会人、学校、会社といった枠にとらわれずに授業で学べないこと、会社で取り組めないことを目指す。
ツナガルドボクは各種主体と連携して活動する |
九州地区の学生の発案で始まったこの取り組み。将来を担う若者たちが夢と希望を持ち、自らの手で未来を切り開いていこうとする活動が、これからの土木業界の新たな潮流となっていくことが期待される。
0 comments :
コメントを投稿