2018年6月19日火曜日

【現場人】ミツワ興業・土屋歩さん「基礎工事の現場で日々奮闘」

 ◇見えない部分からインフラ支える◇

 専門学校を出て、東京でボーリング調査、郷里・新潟で井戸の掘削にそれぞれ3年従事した。2年半ほど前に橋梁や道路など土木構造物を中心とする杭打ち基礎工事を手掛けるミツワ興業(新潟県長岡市、吉原博社長)に入社。県内を中心とする工事現場で作業に当たる忙しい毎日を送る。

 そんな土屋歩さん(32)が卒業した専門学校は、同じ新潟県出身の田中角栄元首相も学び、後に校長も務める中央工学校(東京都北区)。そこで土木を専攻して主に地面のことを学んだ。その中で基礎工事が「見えない部分でインフラを支える大事な仕事」であることを知り、興味を抱いた。前職、前々職も地面を扱う仕事ではあったが、基礎工事の魅力にじかに触れてみたいという思いを持ち続けていた。

 郷里での井戸掘りの仕事を辞し、ハローワークで「建設労働者緊急育成支援事業」のことを教えてもらった。未就業者に職業訓練や資格取得、就職支援をパッケージで提供するこの事業で、1カ月のカリキュラムで基礎工事を学べるコースがあることを知った。自分の希望をかなえる同事業への参加には、高校の同級生で26歳の時に結婚した妻も「参加してみれば」と背中を押してくれた。

 地面のことはこれまでの仕事である程度分かっていたが、基礎工事に関する座学や実技を通して「工程を学ぶことができた」。何も知らないまま職に就くより、ある程度の知識を事前に習得できるこの事業はありがたいと思ったし、現場作業で必須の「玉掛け技能講習」資格も無料で取得できた。

 今、現場では場所打ち杭工法に用いる全周回転式のオールケーシング掘削機を扱うオペレーターの作業を地上側で支える「下回り」作業に従事。基礎工事は、オペレーターと下回りが息を合わせて初めて適切な施工を進めることができる。現場で奮闘する土屋さんのことを吉原社長は「仕事の飲み込みが早く、フットワークも良い」と働きぶりを評価。将来、重要な役割を託したいと大きな期待を掛ける。

 会社の期待にも応えようと、就職後も移動式クレーン、大型自動車免許、基礎工事用の運転技能講習など各種資格を取得。7月には基礎施工士の取得を目指した講習にも参加し、自らの能力向上を図る予定だ。

 まだ駆け出しの身で指示された仕事をこなす日々だが、「先輩たちを目標に追いついていけるようにしたい」と意気込みを語る。

 (つちや・あゆむ)

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