2018年6月11日月曜日

【美術作家の植田志保さんとコラボ】豊島区、池袋駅東西地下道の再生プロジェクト実施

 東京・豊島区は、池袋駅の東口と西口を結ぶ公共地下道「WEロード」の再生事業に取り組んでいる。老朽化による漏水被害や地下道特有の悪いイメージなどを解消し、女性が安心して快適に通行できる地下道の実現を目指す。

 天井や壁面などの内装デザインは美術作家が手掛け、色彩豊かな絵を公開制作によって描く予定。19年秋の完成を目標としている。工事費は2・8億円を見込む。

 WEロード(延長77メートル、幅員3・6メートル、高さ2・1メートル)は、1925年に完成したとされる。利用者数は平日が約3万人。休日は約4・6万人と多いが、公共地下道特有の「暗い、怖い、汚い」といったイメージから、女性利用者の割合は平日で2割、休日も3割程度にとどまる。

 再生事業では女性が安心して通行できる地下道の実現に向け、LED照明の連続的な配置、老朽化している雨どいや排水溝の改修などを実施する。

 内装デザインは美術作家の植田志保氏が担当。壁を過去、床は現在、天井を未来に見立て、色とりどりの絵を描く。WEロードの躯体が五つに分かれていることから、万物は5種類の元素から成るという5行説(木・火・土・金・水)に当てはめ、区の歴史や文化からモチーフを取り出しながら、デザインを組み立てていく。

 現在、東日本総合計画(東京都墨田区、田垣茂彦)が設計中。土木工事を9月から始め、19年3月に竣工させる。建築工事は11月に着手し、19年9月末の完了を目指す。植田氏による内装の公開制作は、19年に豊島区で実施する文化イベント「東アジア文化都市」の一環として来年2~9月に行う予定だ。

 豊島区の高野之夫区長は8日の記者会見で「池袋の東西を結ぶWEロードを再生することで、池袋のイメージが大きく変わり、女性に優しい街ができあがるのではないか」と説明。同席した植田氏は「民間と行政が近い距離で文化を創出してきた豊島区の活動に触れて感銘を受けることがあった。公開制作を通して、文化都市としての記念樹を植え育てていくような思い込め、全身全霊で頑張りたい」と意気込みを語った。

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