2018年3月1日木曜日

【回転窓】これからの競争


近所の不動産屋で親子連れを見かける機会が増えてきた。1人暮らしの家を探しているのだろう。3月に入り、進学や就職、転勤などに伴う大移動が本格化する▼だが、今年の引っ越しは例年になく大変と聞く。背景にあるのはドライバー不足。費用は高騰し、希望日程での引っ越しが難しいケースも出てきそうだ。建設業と同様、業務の平準化問題が重くのしかかる。年度ベースに人事異動を行う組織は多く、入学時期をずらすことも難しい▼試行錯誤も始まっている。国土交通省は先月、宮崎交通と日本郵便、ヤマト運輸が宮崎県内で行う物流効率化の計画を認定した。路線バスで乗客と貨物の両方を一度に運ぶ。複数事業者による共同貨物輸送は全国初となる▼相乗りのコストメリットはもちろん、利用者が少ない地方バスの経営改善にもつながる。ライバルであっても互いにメリットがあれば連携する▼人口減少社会ではスケールメリットの追求が難しい。サービスの安定提供には、全体の持続可能性を高めることが不可欠であろう。価格競争だけに明け暮れることが果たして正しい姿なのか。競争の在り方が問われている。

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