建設技術研究所ら5者は21日、電源を使わずにトンネル照明灯具の取り付け異常を検知するデバイス「フリークエンター」を開発したと発表した。LEDランプが付いたデバイスを灯具に取り付け振動を加えると、灯具を固定するボルトの緩み具合によってLEDが異なる光り方をする。これにより灯具の異常を検知する仕組みだ。老朽化などによる照明灯具の落下リスクを事前に把握できる。国土交通省の「点検支援技術性能カタログ」に登録された。
フリークエンターは、京都大学のインフラ先端技術コンソーシアム(八木知己大学院工学研究科教授)が開発した。構成メンバーのうち開発に携わったのは建設技術研究所のほか▽構研エンジニアリング(札幌市東区、池田憲二社長)▽鷺宮製作所(東京都新宿区、西見成之代表取締役)▽京都大学大学院工学研究科インフラ先端技術産学共同講座の塩谷智基特定教授▽北海道大学大学院工学研究院の橋本勝文准教授。
フリークエンターは手で持ち運べる箱状のデバイスでLEDランプが付いている。鷺宮製作所が開発した振動で発電する「エナジーハーベスタ」を活用し、検査時の電源を確保する。
使い方は4本のボルトでトンネル覆工壁面に固定されている照明灯具に、フリークエンターを取り付けた状態でハンマーなどを使って振動を与える。ボルトが緩んだり、取り付け金具が腐食したりすると灯具の固有振動数が低下する性質を活用し、振動数の変化によって変わるLEDの光り方で異常の有無を判断する。
同コンソーシアムは今後、フリークエンターの技術を応用し、トンネル照明灯具以外への適用を進め、付属施設点検のシステム化を目指す。
従来は作業員が実際の取り付け状況を目視したり、揺すったりして点検していた。人の感覚に依存する部分が多く、点検の質が作業員の技量に左右されるリスクがあった。
トンネル照明灯具といった付属施設の取付部の異常が年々増加している。異常を検知する技術の開発が行われるも、異常検知システムのコストが高いことや、異常と判断する基準設定の難しさなどから社会実装が進まない現状がある。このため安価で電源を使わずに異常を検知できる点検支援技術の開発が課題となっていた。
source https://www.decn.co.jp/
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