小型ロケットで超小型の人工衛星を打ち上げる“宇宙宅配サービス”提供へ--。キヤノン電子とIHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行、紀陽銀行の5社が出資するスペースワン(東京都港区、豊田正和社長)が和歌山県串本町に建設していた国内初の民間射場「スペースポート紀伊」が完成し、2023年2月末の初号機打ち上げに向け急ピッチで準備が進む。22日、射場施設が初めて報道陣に公開された。
◇宇宙宅配サービス提供へ
建設地は串本町田原地区(敷地面積約15ヘクタール)。管制室や衛星組み立て室などが入る総合指令棟やロケットを組み立てる整備棟、モーター保管庫、ロケット打ち上げ射点、移動式射点組み立て足場などを備える。清水建設の設計・施工で19年4月に着工し、21年度にすべての施設が完成した。
打ち上げる小型ロケット「カイロス」の基本構成は固体燃料3段式+軌道変更用液体エンジン。IHIエアロスペースが実績を重ねてきた固体燃料式ロケットの技術を継承した。全長は約18メートルで重量が約23トン。代表径は約1・35メートル、衛星を載せる先端部のフェアリングは約1・5メートルとなっている。太陽同期軌道(南向)では重量150キロまで衛星の搭載が可能だ。
人工衛星ビジネスの動きが活発化する中で、現状は民間の射場がなく海外で打ち上げる必要があるという。「契約から打ち上げまで1年、衛星引き渡しから4日後に打ち上げという世界最短を実現する」(スペースワン)ことで、高まるニーズに対応していく。2020年代半ばには年間20機の打ち上げを目指す。“ロケットの町”を打ち出した地域の活性化や雇用創出などの波及効果も期待される。
射場の管理・運営を行う総合指令棟
将来的に年間20機の打ち上げを目指す(スペースワン提供)
source https://www.decn.co.jp/
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