建設産業の未来を担う若者の入職促進に向け、建設業団体などが動画投稿サイト・ユーチューブを活用したPR動画の配信に力を入れている。内容は職人の1日密着や芸能人による現場リポートなど多種多様。1回の視聴数が30万を超える人気企画もある。スマートフォンを使い慣れた若者の目に触れやすく、多くの就活生がユーチューブで採用動画を視聴している。入職促進ツールとしての役割が高まっていきそうだ。
ユーチューブの活用に力を注ぐ日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、公式ユーチューブチャンネルで「◯◯女子シリーズ」と銘打った女性技能者・技術者の1日密着シリーズなどさまざまな企画の動画を配信している。著名な芸能人も登場。俳優の高橋克典さんがナビゲーターを務めるプロジェクト紹介や、人気バンド「DREAMS COME TRUE」の中村正人さんが参加した子ども向け作業服づくりの動画を公開している。
人気企画は4カ月前から配信している「クレーンオペレーターなみちゃんのお仕事に密着!」。タイトル通り、横浜市の建設会社に勤める入社3年目の女性の1日に密着。親子ほど歳が離れたベテランの指導や手助けを受けながら、クレーンオペとして現場で活躍する様子に視聴者からは「かっこいい」などのコメントが寄せられている。8日正午時点で視聴回数は約30万5000回に上る。
9月に「戦略的広報検討委員会」を外部有識者らと立ち上げた全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)もユーチューブを含めた動画の活用を模索している。6~7月に47都道府県建設業協会に実施した調査では22協会が広報活動でユーチューブを活用。災害・防疫対応など緊急事態に「地域の守り手」として現場最前線で対応する建設業の社会貢献に着目し、情報発信を一段と強化していく。
入職促進を目的にした動画の活用は個社や団体でも相次いでいる。東日本建設業保証(東保証、原田保夫社長)もユーチューブチャンネルを立ち上げ、現場で働く人たちのインタビューシリーズが始動。第1弾で建築工事の現場監督を務める若手女性技術者の1日に密着した動画を配信しており、今後2~3カ月ごとに同シリーズの新作を公開する。中高生に見てもらうためナレーションに人気声優の雨宮天さんを起用した。
東北地方の産学官民でつくる「3・11伝承ロード推進機構」(今村文彦代表理事)は東日本大震災の復旧・復興工事などに貢献した建設会社の活動記録を残す映像アーカイブ事業で、日本埋立浚渫協会(埋浚協、清水琢三会長)や多くの建設会社が制作した動画をユーチューブで配信。国土交通省四国地方整備局は同局のユーチューブチャンネルで地元の官民の若手技術者に登場してもらい、仕事のやりがいや目標を熱く語る様子を収めた動画を公開している。
人材派遣・紹介事業を手掛けるレバレジーズ(東京都渋谷区、岩槻知秀代表取締役)が9月公表した調査結果によると、就活生の7割が採用動画を視聴した後に「志望度が高まった」と回答した。こうした傾向からも、担い手確保にユーチューブの活用がますます重要になっていきそうだ。
source https://www.decn.co.jp/
0 comments :
コメントを投稿