2022年12月19日月曜日

関東整備局/防災DXが本格始動、地震発生時の初動対応自動集計

 関東地方整備局が取り組む防災分野のDXが本格的に動き出した。地震発生時の初動対応や自治体からの支援要請などを自動集計するシステムが今月始動。地方整備局で初めて実働に入った。ドローンを使った発災時の情報収集にも力を入れ、衛星通信による情報伝送も可能になるなど、災害対応の高度化と省人化に取り組む。今後は風水害にも対応できるようシステムを開発するなど「防災DX」をさらに推進する方針だ。
 大地震が発生すると、あらかじめ指定された職員は周囲の状況や県、市町村との連絡態勢を整備局の災害対策本部に報告する。これまではメールで報告していた。報告時間の短縮や被災状況の早期把握などを目的に開発したのが「防災クロノロジーシステム」。2日に本格運用を始めた。
 同システムは職員が報告する第一報や、被災自治体の支援要請情報を自動で集計、分類するのが特徴。ウェブブラウザー上の入力フォームに、スマートフォンなどで情報を書き込むと、災害対策本部に送られて自動集計される。
 入力はボタンタッチや定型文を加工するだけで良く、省力化を図っている。災害対策本部では自治体からのリエゾン(現地情報連絡員)や支援の要請を速やかに把握できる。試験では初動情報の入力時間が従来の約3分の1、自治体の支援要請が2分の1に短縮できたという。
 強い地震が発生した際、国土交通本省や各関係機関に連絡メールを速やかに作成、送信するシステムも同日に稼働した。初動対応の迅速化を目的に開発したシステムで、気象庁が発信する震源や震度の情報を自動判別し、一定の基準以上ならば情報を担当職員へ自動的に知らせる。
 職員はシステムを通じて関係各所への報告や連絡メールの送信のほか、非常・警戒・注意の各態勢への移行登録も簡単に行える。入力フォーム内の定型文を修正し、送信ボタンを1回押すだけで本省や各事務所への連絡と、態勢移行の登録が同時にできる。これまで個別にメールを作成、送信し、各事務所に指示を出すのに約30分かかっていたが、システム導入により半分程度で行えるようになった。
 関東整備局が衛星通信でドローンの映像伝送を始めたのは、7月に発生したKDDIの通信障害がきっかけという。従来は商用の携帯電話網を使っていた映像伝送を、関東整備局が運用する「Ku-SATII」や「Car-SAT」を経由して行う。災害時でも使用できる独自回線により、被災状況をリアルタイムの映像で確認できる。
 小型で持ち運び可能なKu-SATIIと、車載で機動性の高いCar-SATを使い、情報収集能力の向上につなげる。さらに関東整備局ではドローン操縦資格者の育成にも力を入れており、12月時点で職員94人が資格を保有している。
 工藤美紀男総括防災調整官は「DXによって人の手によるミスを減らすことができ、防災対応の迅速化、高度化が可能になる」と強調。今後も防災DXの推進に力を注ぐ考えを示した。



source https://www.decn.co.jp/?p=148850

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