3月の福島県沖地震を受け、新幹線施設の地震対策を検証してきた国土交通省の外部有識者会議が中間報告をまとめた。報告書は地震で1径間のRCラーメン橋台が大きく損傷した状況を問題視。JR各社に対し、同様の箇所の耐震補強を2025年度までに終えるよう求めた。対象の柱本数は全国で1140本。JR各社に対する国の財政支援は設けず、耐震補強計画上の優先順位を見直して対応してもらう。
14日に東京都内で開いた「新幹線の地震対策に関する検証委員会」(委員長・須田義大東京大学生産技術研究所教授)の会合で委員らが中間報告の内容を了承した。検証の結果、ラーメン構造を採用した橋台が大きく損傷している状況が分かった。通常の高架部は2、3径間のラーメン橋を使用している。橋脚は6~8本あり耐震性に優れる。
一方、道路との立体交差部では道路幅員に柔軟に対応するため、桁橋を採用しているケースが多い。1径間・4本足のラーメン橋台でプレストレストコンクリート(PC)桁を支えている。橋脚が他の箇所より少ない上に桁の荷重もかかるため、構造物への負荷が大きい。福島県沖地震では第1小坂街道架道橋(福島県国見町)の橋台が沈下し、復旧に26日間かかった。
こうした状況を踏まえ、JR各社には同様の箇所の耐震補強を急いでもらう。対象は▽JR東日本(東北、上越新幹線)970本▽JR西日本(山陽新幹線)170本-の計1140本。両社が設けている耐震補強計画で対象外になっていた柱も多く含まれる。
対策が必要な構造物は、開業当時の設計標準に沿って整備された。現行の設計標準は東日本大震災を受けて12年に改定済み。委員会は設計標準の妥当性も検証したが、十分な耐震性能を確保できると認め、追加の改定は不要と結論付けた。
source https://www.decn.co.jp/?p=148780
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