中日本高速道路会社は、プレストレストコンクリート(PC)橋桁の部材に使われているPCグラウトの充填(じゅうてん)不足対策を急ぐ。神奈川県沿岸の西湘バイパスで充填不足の調査や再充填工法の試験を実施中。管理や施工の技術基準などを整備する。関係基準が改定された1999年以前に施工された構造物は、施工管理が十分でも充填不足が懸念されるため、本格的な対策を早期に講じる方針だ。 沿岸部にあるPC構造物のうち、PCグラウトの充填が不十分なPC鋼材は塩分や雨水の影響で腐食が進行しやすい。PCグラウトは、充填不足を抑制する材料や施工方法の登場と関係基準の改定で、99年以降は充填不足の発生リスクが小さくなっている。同年以前の施工ではPC鋼材を包むシース管の内側に残留空気が発生してしまったり、シース管とPC鋼材の隙間がなくPCグラウトを注入しにくかったりした。このため中日本高速会社は、充填不足が避けられなかった構造物があるとの知見を得た。 同社は西湘バイパス滄浪橋(神奈川県小田原市)の塩害対策で、PCグラウトの充填不足の影響と充填状況の調査、再注入の試験施工を行っている。超音波の特性を生かした非破壊調査や、開削したシースをファイバースコープで確認する削孔調査を実施。全240径間のうち36径間の一部、2000以上の調査箇所の約13%に充填不足があることを確認した。充填不足の箇所の一部は、シース内の空気を真空ポンプで減らし、ポンプでPCグラウトを注入する作業を行っている。「状況を正確に把握し、100%の充填を確認したい」と話す伊勢原保全・サービスセンターの佐藤健太工事担当課長によると、注入量や注入率などから確実に再充填するためのポイントをチェックしているという。調査方法や再注入工法が複数あり、道路管理者として求める品質を確保する技術基準などの整備を進める。 滄浪橋は供用から50年が経過している。所在地は前川~国府津1丁目。橋梁延長5685メートル。269径間のうち240径間がPC橋。西湘バイパスは海から飛来する塩分が多く、波が届く区間もあり、橋梁の損傷箇所は山側に並行する小田原厚木道路の約3・6倍という。滄浪橋は腐食した鉄筋によるコンクリートの剥離が目立ち、脱塩や表面被覆といった塩害対策を続けている。
滄浪橋は塩害対策が急ピッチで進行中source https://www.decn.co.jp/
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