日本空調衛生工事業協会(日空衛)の藤澤一郎会長は、時間外労働の罰則付き上限規制の適用が2024年4月に迫る中、「このまま24年4月を迎えた場合、最終的には施工対応が困難な局面も想定され、社会的、経済的に大きな損失につながりかねない」と危機感を示した。7日に東京都内で開いた国土交通省との意見交換会での発言。日空衛が実施した調査結果で残業時間の目標達成は本年度も厳しい状況が明らかになり「閉所による週休2日の確保が必須だ」と訴えた。
東京千代田区の如水会館で開いた意見交換会には、日空衛から藤澤会長ら幹部、国交省は笹川敬官房審議官(不動産・建設経済局担当)、古川陽官房審議官(官庁営繕部担当)らが出席。▽働き方改革の推進▽重層下請構造の改善▽建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及及び運用▽BIMの推進▽資機材の価格高騰、納期遅延▽企業及び配置技術者の実績要件の緩和-の6項目で意見を交わした。項目ごとに要求事項も提示した。
藤澤会長は「時間外労働の上限規制は当業界にとって対処すべき重要課題だ。要望事項の最優先事項として4週8閉所の徹底を挙げた」と強調した。国交省は週休2日を確保するため「適正な工期や賃金水準が確保されることが重要である」との見解を示し「引き続き、公共、民間を問わず『工期に関する基準』の周知徹底に取り組む」とした。
重層下請構造の改善について日空衛は、品質・安全性の低下、下請対価の減少など課題もあるとの認識を示した上で「設備工事の場合、請負次数が増えざるを得ないケースがある」と指摘。このため次数制限だけの対応にとどまらないよう分離発注の推進も要望した。国交省は「品質・安全性の向上や下請対価の確保についてもさまざまな観点から議論を行っている」と回答した。これを踏まえ日空衛は「建築設備工事のうち自動制御や消火設備などの工事は、特殊・専門分野として重層下請の問題と区別して議論してほしい」と要望した。
日空衛は資機材価格の高騰による契約変更を円滑に行うため、受発注者双方が納得できる物価スライドの仕組みを構築することなども求めた。
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