九州大学と九電工は、室内照度を自動測定するロボットを開発した。複数の小型ロボットが室内を自走しながら照度の測定データを短時間で取得できる。建物の完成直前に行う照度測定は、日光の影響を避けるために夜間に行われ、人的負担が大きかった。ロボットによる生産性向上で現場技術者の長時間労働を是正しようと、8カ月と短期間でプロトタイプの完成にこぎ着けた。
九電工が電気設備工事を施工する福岡県朝倉市内の物流施設「ESR福岡甘木ディストリビューションセンター」で21日、九大システム情報科学研究院の倉爪亮教授と九電工の酒見和幸技術本部技術開発部長が会見した。
開発では、小型群ロボットが協調して動作する「スワームロボットシステム」を活用。JIS規格に基づく照度測定器を載せた3台の小型ロボットを用い、1400平方メートルの室内を人が測定する場合に25分要するところを17分に短縮できる様子も披露した。手作業よりもきめ細かくデータが取得できるのも利点という。
今後、測定データから自動で試験成績書に直接アウトプットできるソフトウエアを開発して書類作成業務も自動化。2023年度中に実用化し、九電工が電気設備工事を行う「物流施設、工場、無柱でフロア面積の広いオフィスなどの照度測定に活用していきたい」(酒見氏)とする。
24年4月に迫った建設業での時間外労働の罰則付き上限規制適用も視野に、現場作業の生産性向上に役立て、他社への外販も見据える。
九大と九電工は21年12月、社会課題の解決に向けたイノベーション創出を目的とした組織対応型連携を締結。今回の開発が初弾案件となる。
働き方改革という直面する課題に対し、倉爪教授が詳しいROS(ロボットオペレーティングシステム)で過去に開発された技術やノウハウを生かし、短期間での開発につなげた。
照度測定向けのロボットを「空調や温度の測定にも応用できるのではないか」(酒見氏)と見ている。
3台のロボットが室内を試走
source https://www.decn.co.jp/
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