静岡・清水港でNTTなど3社が行った海中音響通信技術の実証実験(15日まで実施)で、国産水中ドローンメーカーのフルデプス(東京都中央区、吉賀智司社長)の「ダイブユニット300」が活躍した。海中用の音響通信技術を駆使しながら完全遠隔無線制御型水中ドローンを動かす世界初の実験。スピーカーやマイク、水密加工した機器を装備したダイブユニット300が無線操作や映像情報の伝送に貢献した。
フルデプスは、NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズの実験に技術協力した。海中の通信の品質を劣化させる海面反射波を抑圧する時空間等化技術や、浅い海域で観測される船、生物、重機などの雑音を抑える環境雑音耐性向上技術というNTTの独自技術を適用。映像配信や機体制御といった水中ドローンを巡るフルデプスの機体とノウハウを組み合わせた。
ダイブユニット300は、映像を含む水中の情報収集や水深300メートルまでの潜航などができる。オプション機器が豊富でダムや護岸の点検、建設工事などでの利用が目立ってきている。実験のために音響通信用のスピーカー、マイク、バッテリーと、音響設備を格納した金属製の水密容器を装着した。音響関係の機器はNECが製造・用意した。
実験用の機体は海上の船から海中の映像を見ながら操作できる。船内の音響通信装置がドローンに制御信号を送り、ドローンは受信した制御信号に従って移動・撮影。映像データを船の装置に送る。
浅い海中は構造物や地形の影響で音波の波形が乱れやすく、さまざまな雑音も生じる。音響通信に適さず、ドローンの無線操作が難しい。NTTらは新技術で必要な音響通信の質や伝送速度を確保し、完全遠隔無線制御型水中ドローンを実現した。フルデプスの吉賀社長は「ダイブユニット300の性能を評価していただき、最先端技術の実証実験に協力できた」と手応えを示す。
機体は信号が途絶えるなど不測の事態に備えた制御機能を備える。機体の制御・管理は1人で実施可能。現在の機体は重量の約7割を音響機器と水密容器が占めるが、機器、容器とも軽量化と小型化が見込めている。有線制御の水中ドローンが潜航できない海中の構造物が入り組んだ場所や、各地で行われる洋上風力発電施設工事などでの利用が期待されるという。港湾の海中設備などの点検作業で生産性や安全性の向上にもつながる。
NTTなどは音響通信の技術開発や水中ドローンユーザーの開拓を進める考え。フルデプスは機体の性能と付加価値を積極的にアピールする。
音響通信用の機器も船内の操作室
source https://www.decn.co.jp/
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