2022年12月22日木曜日

東京芸大/S・W造の国際交流拠点が完成、デザイン監修を隈研吾氏・施工は前田建設

 東京芸術大学が上野キャンパス(東京都台東区)に整備していた国際交流棟が完成した。隣接する既存の大学会館と一体的につながり、食堂やコミュニティーサロン、茶室などが入る。留学生や学生らが学びながら交流する場となる。施工した前田建設の提案により、鉄骨造と木造を組み合わせた混構造を採用。施工時のコンクリート打設回数を減らし、工期短縮や騒音抑制につなげた。
 「国際交流棟(Hisao&Hiroko TAKI PLAZA)」の所在地は上野公園12の8。大学会館の一部を解体した跡地にある。建物は5階建て延べ約1500平方メートルの規模。1・2階がS造、3・4階が混構造、5階がW造となっている。2021年11月に着工し、今年11月30日に竣工した。建物の内外にはパブリックアート作品を設置する。基本設計を隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)と東京芸大、デザイン監修を同事務所、設計監理を東京芸大と前田建設、施工を同社が担当した。
 前田建設は8日、現地で報道陣向け見学会を開いた。S造とW造を組み合わせることで、純木造の中高層建築では困難な9メートルスパンの空間を実現。将来の間取り変更に対応できるようにした。建物正面から視認できるメインファサードの耐震ブレースは、火災時に焼損しても建物構造を維持できる設計としており、デザインとして木質の露出を可能にしている。
 床板の一部には、北米で一般的な製材同士を固定して床板を構成する工法「NLT」を採用。日本の高温多湿の環境で反りや縮みが生じないかなどを環境実験で確認した。木造部と鉄骨部の接合箇所は耐火処理方法が法規上、明確ではなく、耐火炉で実証実験を行い安全性を確かめた。
 S造だけだった基本設計にW造を組み合わせる提案は、大学側が現場周辺で音楽学部の講義などがある中で工事騒音や振動を懸念していたことを踏まえ、前田建設から行ったという。担当した建築事業本部建築設計第1部の永松航介設計第1グループ長は「木造が大規模になっていくと鉄骨造との混構造は避けられないと考えている」と話し、騒音が課題となる市街地の建築物などに応用できる実例になるとした。



source https://www.decn.co.jp/?p=148763

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