国土交通省はICT施工の新たに目指す姿を近く提示する。これまで取り組んできたICT建設機械の導入などによる「工種単体」の作業効率化を、現場状況のデータ把握・分析を通じた「工事全体」の生産性向上に進化させる。こうした方向性をICT施工のステージ2と位置付け、建設業団体などと今後の進め方について意見交換していく方針だ。先駆的な建設会社などが段階的にステップアップする道筋を示し、さらなるICT施工の効果発現を狙う。
直轄土木工事のICT施工は実施率が年々上昇している。2021年度は対象工種で入札公告した2685件のうち84%を占める2264件で実施。国交省は地域を地盤とする中小建設会社への普及拡大を今後の課題と認識し、小規模現場へのICT施工の適用拡大などに注力している。
一方、現状のICT施工は土工などの工種単位の効率化にとどまっており、生産性向上の効果は限定的との見方もある。工事工程の一連の作業を効率化するための判断は、従来と同じように現場技術者の感覚や経験に委ねられている。こうした問題意識からステージ2では、現場の行動履歴や建機稼働状況などのデータを把握・分析することで技術者の判断を支援し、工事全体の効率化に導くような環境整備を目指す。
例えば盛り土工事の一工程を担うブルドーザーをICT化した場合、前工程となるダンプの土砂運搬も効率化しなければ実質的な生産性向上にはつながらない。前もって各工程のデータを把握・分析し技術者の判断支援に当たる仕組みを備えておけば、施工計画の検討や見直しに大きく役立つ。
国交省はさらに高度化した将来目標としてICT施工のステージ3も展望する。同一現場内の複数の工事が入り組む現場全体の効率化を目指す。施工計画を自動生成するAIの活用や、次世代建機による遠隔・自動施工などを通じ、より最適化された現場の実現を目指していきたい意向だ。
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