人・夢・技術グループは、海外連携領域の事業展開に一段と注力する。2030年度までに関連分野の売り上げを100億円程度に伸ばしたい考え。アジア地域の橋梁や鉄道などインフラ事業の強みを生かしつつ「地域開発もしないと経済振興できない」(永冶泰司社長)との考えに基づき、今後はまちづくりでのIT活用などソフト分野も強化する。民間資金を活用した事業も積極展開するほか、観光需要の発掘やプロダクツ事業の拡大も狙う。
東京都内で11月28日に開いた2024年9月期決算説明会で永冶社長ら幹部が経営方針などを説明した。30年度を目標とした経営計画「長期ビジョン2030」の実現に向け、塩釜浩之常務は「特に伸びしろがあるのは海外領域」と強調。橋梁や鉄道などの事業に加え、アジア地域のまちづくりなどで人口増に対応できるソフト分野を開拓するための社内体制を固めている。ITを活用したまちづくりや交通計画などに注力する方針だ。
ベトナムではグループの長大と長大基礎地盤ベトナムが、民間資金を活用した事業方式で行うサイゴン川に架ける歩道橋の事業化調査業務を受注している。井戸昭典専務は「円借款事業が縮小する中、民間資金を活用した事業が拡大する」と見る。「ベトナムをはじめ、それ以外の国でも民間資金の活用に積極的に取り組む」との意向を示した。
永冶社長は、アジア以外の地域も含めた観光需要の発掘に期待を寄せた。長大がマダガスカルで受注している道路・橋梁維持管理能力強化プロジェクトに触れ、「(マダガスカルには)観光基地などの需要がある」と永冶社長。ハード事業との相乗効果を狙い、観光などのソフト面で地域を開発し経済を振興させる必要性を説いた。
ここ10年程度で成果を上げているのが、道路標識に使う反射塗料などのプロダクツ事業だ。反射塗料は「既設の道路でも反射状況をつくれるので、引き合いは多い」(永冶社長)。国内のほか、海外ではフィリピンにも展開中。今後は海外での事業を強化したい考えだ。
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