2021年3月16日火曜日

【回転窓】父親のダミ声とカセットテープ

  その昔、歌手が新曲を発表する場はテレビの歌謡番組かラジオと相場が決まっていた。新聞のテレビ欄に「○○が新曲披露」と書いてあると、ラジカセをテレビの前に置きカセットテープに録音した▼ケーブルをつないで音を取り込む方法など思いつかずラジカセの内蔵マイクで音を拾う。余計な会話が入らないよう家族に話すなといっても事情を知らない父親は大声を出し、カセットテープの新曲はダミ声混じりになるのが常だった▼カセットテープは1963年、オランダの総合電機大手フィリップに在籍していた技術者・ルー・オッテンスさんのチームが開発したそう。レコードが主だった録音手段に革命をもたらし音楽鑑賞の幅を広げたカセットテープ。CDの開発にも携わったオッテンスさんが6日、94歳で死去したと時事通信が報じていた▼時代を席巻したカセットテープ。すっかり姿を消したと思っていたら、ここに来て人気が出始めているという。入手が難しくモノによってはプレミアム価格で取引されるケースもあるとか▼1本数千円したメタルテープを買った時のドキドキした気持ち。懐かしい思い出がよみがえる。

0 コメント :

コメントを投稿