2021年3月3日水曜日

【回転窓】水を巡る動き

  栃木県足利市の山火事が1日鎮圧された。先月21日に発生し、9日間で神社などを含む約106ヘクタールの山林が焼けた。幸いけが人はいなかったが、近隣住民の方々は不安の日々を過ごされたことだろう▼火が収まったという報を聞いたその日の夜、全国的に雨が降った。あと数日早く降っていればここまでの延焼は食い止められたのではと思うと、気ままな雨を恨めしく思う▼雨は水害などの被害をもたらすが、恵みも与える。大地が潤うことで作物が育ち、水量が増えた川には魚が群れる。人々の営みには雨水が欠かせない▼先週、東南アジア最長の川、メコン川の水位が急低下しているという報道があった(日本経済新聞2月26日付)。上流域にある中国がダムの放水量を制限したため、下流にあるラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの農作物や漁業などに深刻な被害が出ている。国際河川ではこうした水を巡る争いが絶えない▼国内では異常気象による豪雨災害の防災・減災に向け流域治水関連法案が国会に提出された。流域自治体などが一堂に会し治水対策を検討し強化する。利害よりもまず安全・安心を優先した防災対策を。

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