2021年3月11日木曜日

【回転窓】建設業の精神的価値

  何かに取り組む時、やる気を起こすスイッチが人それぞれにあるだろう。大変なことには成果に対する報酬を求めがち。それは富や地位、名誉だけでなく、やり遂げた時の達成感など精神的価値もある▼10年前に多くの人たちのスイッチを切り替えた東日本大震災。国土交通省の記者クラブに詰めていた当時、まさに体も心も揺さぶられ普段の日常が一変。混乱を極めた状況下で、被災地の最新情報や支援策などの取材に駆けずり回った▼大津波に襲われた東北沿岸部を中心に壊滅的な被害が広がり、死者・行方不明者は戦後最悪の規模に。読者にとって価値ある情報を発信することが、被災地の復旧・復興にも何かしら役に立てば。建設専門紙の役割や使命を自問自答し、再確認した日々でもあった▼大畠章宏元国交相を先日取材し、発災当時の話を聞いた。一人でも多くの命を救うためなら後からどのような責任を問われてもよし--。腹をくくり、覚悟を決めたからこそ、現場主導でさまざまな対応が展開されたのだと▼人々のため、社会のためにという思いは人を突き動かす。その使命感こそ建設業が持つ精神的な価値の一つだ。

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