日本経済調査協議会(日経調、理事長・朝田照男丸紅名誉理事)は、2050年カーボンニュートラル(CN)実現に向けて民間企業の経営者に求める提言をまとめた。経営者に対し「覚悟を問う」という強いメッセージの下、受け身ではなくビジネスチャンスの創出に向け積極果敢に投資や研究開発などに取り組む必要性を説く。企業だけの取り組みではCNは達成し得ないため、再生可能エネルギーの大量導入に向けた基盤整備など政府への要望も盛り込んだ。
提言では、CN達成には▽エネルギー▽産業構造▽国民生活-の3分野のトランジション(移行)が必要とし、産官学がゴールを共有して取り組むべきと強調。トランジションに必要な六つの取り組み=図=を提言した。
再エネや水素、アンモニアなど新たなエネルギーの導入に弾みを付けるため、必要なインフラを政府主導で整備するよう要請。事業に挑戦する企業を鼓舞する制度設計も求めた。原子力発電所の活用拡大も「避けては通れない」とし、経営者にとって必要な対策も列挙した。
産業構造の転換に向けたサプライチェーン(供給網)の再編では、大企業と中小企業が連携し、新たなエコシステムを構築したり、スタートアップを含め強靱な供給網を形成したりする必要があるとした。トランジションを低コストで進めるため、既存インフラの有効活用も重視した。
提言は同協議会のカーボンニュートラル委員会(委員長=朝田理事長)が「カーボンニュートラル実現に向けた『覚悟』を問う~トランジションとグレートリセットによるビジネスチャンスの創出~」としてまとめた。6日に同委員会の尾木蔵人主査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング国際アドバイザリー事業部副部長)と吉本陽子副主査(同経済政策部主席研究員)が記者会見し、提言内容を明らかにした。
尾木氏は「CN達成は今までの延長線上では成り立たない」と指摘。「経営者には大きな構造変革やトランジションを実現する覚悟を持ち、CNへの挑戦をビジネスチャンスにしてほしい」と提言に込めたメッセージを説明した。
source https://www.decn.co.jp/
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