電気設備工事上場大手5社の2022年3月期連結決算が4月28日に出そろった。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻で資機材価格、サプライチェーン(供給網)に影響が出たものの3社が増収となった。本業のもうけを示す営業損益は3社が増益。関電工は、収益認識に関する会計基準適用後の参考値比較で減収するも、完成工事総利益率が向上し前年度並みの利益を確保した。業績の先行指標になる単体受注高は4社が増加した。
連結ベースで見た売上高は3社が増収。5000億円を超えたきんでんは一般電気工事関連が増加。事務所ビルや物流施設が堅調に推移した。九電工は資材調達遅れや大型太陽光工事の着工遅れを要因に減少した。ユアテックは6期ぶりの増収。再生可能エネルギー関連や送電関連の売り上げが好調だった。
営業利益は3社が増益、2社が減益となった。トーエネックは工事採算性の低下と働き方改革に関する一般管理費が増加し利益が下がった。ユアテックはベトナムの設備会社を完全子会社化し業績を計上。利益の押し上げ要因になった。
受注高は、関電工が半導体や自動車関連工場、官公庁案件で底堅い受注を確保した。ユアテックは屋内配線工事(26・3%増)、配電線工事(13・7%増)で2桁の伸び率を記録した。九電工も18・4%増と大きく伸ばした。
23年3月期連結業績予想は4社が増収営業増益を見込む。資機材価格高騰の影響を加味したのは4社だった。関電工は「コロナ禍で延期・凍結していた計画案件の再開が期待できる。電力設備投資も、高度成長期の送配電網で設備更新が段階的に実施される」とし増収増益を見込む。一方、ユアテックは23年3月期業績予想に「(影響を)考慮していない」とした。資機材サプライヤーと価格交渉し、顧客にも受注価格のアップを要請していくという。銅線など価格上昇が顕著な資機材は見積もりに反映する方針もとる。
各社は「ロシアのウクライナ侵攻で原材料・エネルギー価格の上昇や為替市場の変動、資機材供給の影響など下振れリスクが懸念材料となる」との見方を強める。今後の影響が読めない中、慎重なかじ取りが求められそうだ。
source https://www.decn.co.jp/?p=142288
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