2022年5月16日月曜日

主要ゼネコン25社/22年3月期決算、建築で採算悪化し14社減収

 主要ゼネコンの2022年3月期決算が13日に出そろった。決算発表日が流動的となっているナカノフドー建設を除く25社の連結売上高は14社が前年同期を下回った。原油や資材価格の高騰などで民間建築を中心に工事採算が悪化。本業のもうけを示す営業利益は黒字の会社のうち16社が減少した。23年3月期の業績予想は全社が増収を見込む。ウクライナ危機に伴い物価上昇に拍車がかかるとの懸念もあり減益を見込む企業が目立った。
 増収となったのは手持ち工事を順調に消化した鹿島や大林組、大成建設、清水建設、長谷工コーポレーション、フジタ、東急建設、奥村組、東亜建設工業、飛島建設の10社だった。期首手持ち工事の減少や海外工事の遅延などで多くのゼネコンが苦戦した。
 営業利益の水準維持が難しい状況の中で「土木事業で好採算の工事が積み上がった」(中堅ゼネコン)など6社が前年同期を上回った。工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は、国内外の大規模建築事業で工事引当金を計上した企業などで大幅に低下。18社が前期実績を下回った。2桁台だったのは鹿島や大成建設、長谷工コーポレーション、インフロニア・ホールディングス(HD)など15社だった。
 業績の先行指標となる単体受注高は民間投資が回復基調にあることや堅調な公共投資の推移などで13社が増加。引き続き新型コロナウイルス感染の再拡大など先行き不透明な部分はあるものの「国内外ともに決して市場環境は悪い状況ではない」(複数のゼネコン)との見方が強い。23年3月期予想では受注増を見込む企業が目立つ。
 原油や資材価格の高騰に関して複数のゼネコンで「今後はさらに影響が出てくるのではないか」と警戒感を強める。競争環境の激化も加わり受注時採算は悪化しつつある。ある中堅ゼネコンは「コスト削減を提案しつつ適性な利益を確保できるよう交渉を続けるしかない」と話す。今後も厳しい状況は続くことが予想され、生産性向上や原価低減などの取り組みも一層求められそうだ。



source https://www.decn.co.jp/?p=142576

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