2022年5月18日水曜日

国交省/遠隔臨場で建築工事完了・中間検査、申請・審査者双方の指針整備

 国土交通省は建築工事の完了検査・中間検査で、遠隔臨場を可能とする運用指針を整備する。申請側の工事監理者や施工管理者と、審査側の建築主事や指定確認検査機関の両方を対象にデジタル技術を活用した遠隔臨場を許容する判断基準を設ける。申請側の立ち会いの遠隔化は小規模物件に適用を限定する形で運用指針を策定済み。審査側の遠隔検査手法の検討をこれから本格化し、2023年度の実証実験を経て適用を目指す。
 完了検査や中間検査は通常、申請側と審査側の担当者が現地で立ち会って行われる。そもそも建築基準法は現地での立ち会いを規定していないが、指針整備を通じて遠隔臨場の実施手法や適用範囲、留意事項を明確化することで活用を後押しする。住宅関係業界からの要望も踏まえた対応で、現場担当者の移動時間や負担を減らし建築生産の効率化や働き方改革につながると期待されている。
 申請側の運用指針は建設・住宅関係団体や各都道府県に9日付で通知した。審査側は現地で通常通りの検査業務に当たり、申請側はICT機器による映像を介して遠隔で立ち会う。遠隔臨場の準備・運営などを担う「補助者」を申請側で用意することが要件。新築する小規模な一戸建て住宅や共同住宅の完了検査を適用対象としているが、適正な検査実施を前提に審査側で個別に実施可否を判断してもらう方針だ。
 小規模物件の工事監理者や施工管理者は複数現場を掛け持ちする場合が多く、検査時の遠隔臨場に一定のニーズがあることが背景にある。一方、大規模物件は検査内容が複雑になるため審査側の人員が多く1日で終わらないケースもある。現状の運用指針ではむしろ非効率になる可能性があり、実際の適用物件は限定的になる見込みだ。
 審査側の遠隔臨場は、現地の補助員に指示を出しながら現場での測定や映像による確認、設備などの動作確認などを行う方向で検討する。検査の見落としがあれば居住者や周辺住民に被害が及ぶなど懸念も指摘されており、多くの課題を考慮しながら適用範囲や効率的な実施手法を見極める。
 23年度に予定する遠隔検査手法の実証実験で、まずは小規模物件から有効性を探る。難易度が増す大規模物件や複雑な敷地形状の物件にも少しずつ実証対象を広げながら適用可能性を検証していく道筋を描く。



source https://www.decn.co.jp/?p=142641

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