厚生労働省は和歌山市で昨年発生した「六十谷水管橋」の崩落事故を受け、水管橋の維持・修繕への規制強化を検討する。現行省令ではコンクリート構造物以外の水道施設についての記述が薄く、一般論としての規制にとどまっているという。今後の老朽施設の増加を見据え、省令を改正し規制の実効性向上を図る。構造上、目視点検のできない施設があるため、代替手段としてデジタル技術を使用できることも省令で明確化する。関連指針の充実も目指す。=2面に関連記事
30日に東京都内で「水道の諸課題に係る有識者検討会」の初会合を開いた。座長には滝沢智東京大学大学院工学系研究科教授・水環境工学研究センター長が就いた。取りまとめの時期は決まっていない。
水道法と同法施行規則では、水管橋を含む水道施設の点検について「構造を勘案して、適切な時期に、目視その他適切な方法により行う」と規定。点検の結果、異常を把握した場合は維持・修繕を行うとしている。水道施設のうち基幹施設に多く使われるコンクリート構造物だけは、5年に1回程度以上の頻度で点検することや、記録事項と保存期間も明記している。
厚労省は崩落事故を受け、水管橋もコンクリート構造物のように維持や修繕に関するルールを具体的に打ち出す方向だ。維持・修繕の規制を強化して終わりではなく、経営状況が厳しい自治体がルールに基づき水道事業を着実に実施できるよう、支援策の在り方も論点になりそうだ。
厚労省は水道事業者が取り組む施設点検や維持・修繕業務を後押しするため、2019年9月に指針を作成した。今後、道路などほかのインフラ分野を参考に指針を充実する。崩落事故を踏まえた留意点も新たに盛り込む。
会議では和歌山市が設置した調査委員会で行った六十谷水管橋の破損原因の分析結果を説明。つり材が腐食によって破断し落橋したと結論付けた。腐食は振動やさびなど物理的な要因のほか、同水管橋の特徴や条件に応じた維持管理が行われていなかったという人為的な要因もあったとされる。
同水管橋は1975年に竣工し、2023年に法定耐用年数を迎える予定だった。厚労省の調査によると、同水管橋と同じくつり材など補剛部材を使用した水管橋が全国に3481カ所ある。
source https://www.decn.co.jp/?p=143057
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