地域医療機能推進機構人吉医療センター(熊本県人吉市)と京都大学防災研究所、清水建設の3者が2020年7月豪雨で浸水被害を受けた同センターの水害タイムライン防災計画を策定した。医療現場と工学の知見を生かした防災計画の有効性を検証するため、6日に現地で大規模な防災訓練を行った。清水建設は今回の防災計画を標準化し、全国で医療機関の支援に役立てていく考えだ。
20年7月豪雨では熊本県南部を流れる球磨川が氾濫。1階部分の浸水対応に追われた人吉医療センターは災害拠点病院の機能を維持しつつ、水害対応が迅速に行えるよう防災計画の見直しを進めてきた。
京都大学と清水建設は、水害対策が必要な医療機関が全国に多数存在することを受け、医療施設に特化した防災計画の研究を昨年6月に開始。研究の過程で同センターにタイムライン防災計画の策定を提案、3者共同の検討が実現した。
水害タイムラインの策定では清水建設が病院の建築・設備の実態に基づく水害リスクを評価。3者が必要な水害対応や実施判断基準、担当者間の連携方法を整理した。7段階の災害ステージに沿って時系列的に水害対応を順次実行する計画を取りまとめた。
水害時にセンター各部署が行う水害対策の想定所要時間から水害ステージごとにリードタイムを設定。タイムラインに反映している。重要な判断は気象情報に加え、京都大学が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの一環で開発してきた降雨・流出・氾濫解析モデル「全国版RRIモデル」を活用する。
防災訓練は20年7月豪雨と同レベルの降雨で70センチ程度浸水したことを想定。センター職員ら約150人が参加しタイムライン防災を体験した。今後は訓練の評価結果を反映し、より実践的な計画を策定する。
京都大学はRRIモデルの実用化に向けたシステムの実証と改良を実施。清水建設はタイムライン防災計画の標準化を進め、全国の医療機関を対象に防災計画の立案支援を行う。
source https://www.decn.co.jp/?p=142367
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