2022年5月24日火曜日

日建連、トンネル専門協/肌落ち災害防止へ指針、切羽立入の判断基準明確化

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と日本トンネル専門工事業協会(トンネル専門協、野崎正和会長)は、掘削作業時の切羽(掘削最先端)肌落ち災害対策を強化する。一連の作業項目ごとに作業員が切羽に立ち入る必要可否の判断基準を明確にした。立ち入らせる際に必須もしくは推奨する安全確保対策も示した。今後は日建連とトンネル専門協の考え方を実際の工事に反映するため、厚生労働、国土交通両省や発注者に要望項目を伝え対応を求める。
 23日に「トンネル切羽範囲内立ち入り作業における安全対策指針」を公表した。昨秋に日建連の会員企業が施工しているリニア中央新幹線のトンネル工事現場の切羽で肌落ちによる労働災害が相次ぎ発生。日建連は専門的見地から対策を考える必要があると判断し、トンネル専門協と共同で同指針を策定した。
 指針では掘削作業の前提条件として、天端から手前に45度の範囲内を立ち入り可能な切羽近傍エリアとする。トンネル断面は高速道路会社が標準とする80平方メートル程度を想定。重機に搭乗しての立ち入りは可能とし、発破確認時の立ち入り作業は原則認めない。
 掘削作業のサイクルを構成する▽穿孔(せんこう)・装薬▽発破▽ずり出し▽コソク・当たり取り▽1次吹き付けコンクリート▽鋼製支保工建て込み▽2次吹き付けコンクリート▽ロックボルト打設-などの項目を抽出。それぞれ切羽への立ち入り必要可否の判断基準を明確にした。
 各作業項目で作業員を立ち入らせる際に必須または推奨する安全確保対策も整理。全体的に地山が軟弱な状態にある、穿孔・装薬や発破といったサイクル前半の項目ほど必須とする安全確保対策の数が多い。
 日建連とトンネル専門協は厚労、国交両省や発注者に対し、実際の工事で指針の内容を反映していくための対応を求める。厚労省には切羽への労働者の立ち入りを原則禁じている「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」の見直しを要望。国交省には受発注者協議の省力化や適正な安全対策経費を計上するための積算基準見直しなどを呼び掛ける。発注者には指針に沿った必要な工程などを設計段階から十分に考慮するよう求める。



source https://www.decn.co.jp/?p=142805

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