2022年5月2日月曜日

物価高騰の契約変更を発注者25%拒否、民間工事厳しさ顕著に/国交省調査

 国土交通省が主要な元請企業を対象に1~3月に行った調査で、資材や原油の価格高騰を踏まえた契約変更の申し出が発注者に受け入れてもらえないケースが25%あったことが分かった。下請からの契約変更の申し出を元請が断っているケースも14%あった。元下間より受発注者間で契約変更が適切に行われていない傾向が強く、発注者への価格転嫁が滞っている実態が浮き彫りになった。
 労務費や原材料、燃料のコスト上昇分の価格転嫁の円滑化を推進する政府方針を踏まえ、完成工事高上位の元請を中心としたモニタリング調査に併せてヒアリングを実施。元請の支店や現場所長を対象に、公共・民間問わず最近請け負った工事全般で物価高騰の影響を聞いた。
 物価変動に基づく契約変更条項が受発注者間で含まれていないケースは15%。うち6%は「公共では含まれるが民間では含まれていない場合がある」と回答し、公共工事標準請負契約約款に物価変動を理由とするスライド条項が含まれる公共工事との格差があらわになった。元下間で契約変更条項が含まれていないケースも10%あった。
 個別回答を見ると、民間発注者を念頭に置き「顧客の要望で物価変動の条項を削除せざるを得ない状況もある」「物価変動リスクは請負者負担という考えが根強い」との声があった。契約変更条項は適正取引を担保する協議や相談を受け入れる起点となるだけに徹底した設定が求められる。
 契約変更の申し出が発注者に受け入れてもらえない理由として「客先の予算枠の都合」「営業と客先の関係が良好な場合は協議することがある」などが挙がっている。
 下請からの契約変更の申し出を断っている背景に「発注者に契約変更の申し出を行いづらい雰囲気がある」とし、「自社の利益を削ってでも下請の要望に応えることもある」との回答があった。
 物価高騰を考慮した積算を実施し発注者に提示している割合は91%。こうした積算や説明を発注者に受け入れてもらえている割合は65%だった。調査期間内にウクライナ危機が深刻化し物価高騰が新たな局面に入ったことを考えると、現場への影響がヒアリング結果以上に大きくなる可能性は高い。受発注者間と元下間の両方で円滑な価格転嫁に向けた適切な対応が急がれる。



source https://www.decn.co.jp/?p=142274

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