内閣官房は国土強靱化施策の効果を高めるため、官民連携を拡大する。民間主導の取り組みを引き出すため、補助金や税制措置などの支援を手厚くする方針。既存の措置でカバーできていない分野への対応、民間の自由な発想や行動を引き出す仕掛けを検討する。国土強靱化施策の根幹となる「基本計画」を変更し、民間の投資促進策などを反映する。次期基本計画は2023年末の閣議決定を目指す。
内閣官房がナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(座長・藤井聡京都大学大学院工学研究科教授)の会合を24日に東京都内で開き「官民連携の促進と民間主導の取り組み活性化のあり方素案」を提示した。
政府は現在も国土強靱化関連の補助制度31件、税制23件のメニューを用意し、民間の取り組みを財政支援している。ただ、民間は限られた予算を足元の課題解決や将来の収益確保へ優先配分せざるを得ないため、国土強靱化の対策費用を確保しづらい傾向もある。
業界団体からは「民間投資を誘発する国土強靱化税制の創設」(経団連)を求める声や、「民間企業は自主的な防災・減災投資の取り組みへの後押し(予算や税制)を求めている」(全国8経連)といった意見が出ている。そうした実情を踏まえ、補助金や税制などの拡充を検討。民間の自由な発想や工夫を生かせるルールや要件を模索する。
民間の防災投資を評価する仕組みや、民間企業が管理する公共インフラの強靱化について官民連携と役割分担の在り方も考える。
基本計画の見直しに当たり、脆弱(ぜいじゃく)性評価の前提条件とする45項目の「起きてはならない最悪の事態」も見直す。近年の災害から得た教訓や社会情勢の変化など新たな観点を追加。必要に応じて項目の統合や再整理を行う。
追加が必要な観点として、19年台風19号のように広域的に被災し、多数の死傷者や社会経済活動の停滞などが発生するケースを想定。大規模・長期間の電力供給の停止、感染症まん延下での災害発生なども列記した。
source https://www.decn.co.jp/?p=142850
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