先端建設技術センター(佐藤直良理事長)とケミカルグラウト、成和リニューアルワークスが、液化二酸化炭素(CO2)を用いた地盤凍結工法の高度化へ実証実験を展開中だ。水槽内の模擬地盤を凍結し、施工方法の効率化などを検証。従来は並列に設置していた凍結管を直列につなぎ、同等の効果が見込めることなどを確認した。作業の手間を軽減し、コストや工期の縮減につながるとみている。自動化を見据え、AIや3D計測を活用した検証も進める。
高度化に取り組む地盤凍結工法「ICECRETE(アイスクリート)」は、地中に平型の凍結管を配置し、その中に液化CO2を循環させ、気化潜熱で冷却する。同センターらによると、自然冷媒による地盤凍結工法は世界初。不凍液(ブライン)やフロンガスを使う従来方式より熱交換効率が高く、設備の小型化が可能で、温室効果ガスも大幅に削減できる。7件の実績がある。
実証実験は日本建設機械施工協会の施工技術総合研究所(静岡県富士市)で行っている。期間は4月4日~6月24日。液化CO2の循環方法や凍結管長さ、最適流量などを検証し、液化CO2循環の最適化や冷媒配管の合理化、凍土管理の高精度化などにつなげる。
凍結管を直列につないだ実験では、従来型の並列つなぎと同等の凍土が形成できることを確認。限界凍結長を把握するため、1本2メートルの凍結管を7本直列でつないだ検証も進めており、順調に施工できている。液化CO2の最適流量や、液化CO2温度と凍土造成量の相関性も把握できた。
実験用水槽の背面に凍結管を張り付けて凍土を造成する実験なども実施中。凍結プラントのクーリングタワーの性能評価や、温かいブラインを循環させて強制的に凍土を解凍する試験も行う。カメラで作業者の行動を記録して自動化が可能な作業を特定する試みや、3D計測で凍上や解凍沈下を評価する試みも進める。
同センターらは25~27日に見学会を開いた。発注者、施工者、学識経験者ら約180人が参加。27日の見学会で佐藤理事長は「トータルで環境負荷を低減し、地盤改良のレベルを上げる開発だ。この種のトライは世界初で、実用化すれば世界に羽ばたける。同業者が手を組んで最終段階を迎えようとしている」と話した。ケミカルグラウトの立和田裕一社長は「実績を増やしており、この工法を進めたい」と意欲を示した。
source https://www.decn.co.jp/?p=143017
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