首都圏の民間鉄道大手8社の2022年度設備投資計画が17日出そろった。8社の総額は前年度の当初計画と比べ11・6%増の2124億円。コロナ禍で設備投資を抑える傾向から転じ、全社が前年度よりも高い投資見通しとなった。ホームドア設置や自然災害対策といった安全面への投資を強化する動きが目立つ。施設保守業務の効率化に向け新技術の開発や導入を進める向きもある。
計画を公表したのは▽東急電鉄▽東武鉄道▽京王電鉄▽小田急電鉄▽西武鉄道▽京浜急行電鉄(京急)▽京成電鉄▽相鉄グループ-の8社。各社の平均投資額は265・5億円となった。
連続立体交差事業は6社が推進する。東武は3月に高架化が完了した竹ノ塚駅周辺で、地平設備の撤去や引上線の高架化工事を進める。昨年12月に国から事業認可を受けた東上線大山駅付近(下板橋~中板橋駅間)では、東京都施行の連立事業として施行協定を結び、設計などに取り組む。
ホームドアの整備や設置検討を進める社は多いが、ホームドアに必要な半導体の入手が難しい状況も発生している。京急は22年度から23年度にかけて10駅で設置を終える計画だが、半導体不足が影響し昨年度時点の整備予定に一部遅れが出ている。部品の調達状況によりスムーズに整備が進まない可能性もありそうだ。
自然災害対策では大地震に備えた高架橋や地下トンネルの耐震補強を実施する社が多い。大雨で線路脇の斜面から軌道内に土砂が流れ込むのを防ぐため、のり面改良などの取り組みも目立つ。東急は田園都市線宮崎台~宮前平駅間、同大井町線等々力~上野毛駅間で施工予定。山岳路線の西武秩父線ではのり面整備に加え、落石防止柵の設置を前年度に引き続いて行う。
施設保守のDX化で、京王は土木構造物や電気設備の維持管理を効率化する検査システムの構築を進める。東武は列車搭載カメラやAIを使い、施設状態が検測できる新システムの設計をスタートさせる。
駅設備の改良は、相鉄が海老名駅の駅舎建て替えプロジェクトで北口改札を新設し、南口改札の新設に向けた準備工事に取り掛かる。西武はとしまえん跡地(東京都練馬区)に来春開業予定の「スタジオツアー東京-メイキングオブハリー・ポッター」の開発に伴い、最寄りの豊島園駅で新駅舎を整備する。
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