2024年12月4日水曜日

東京・港区/高輪築堤を12月8~9日に一般公開、遺構調査で石垣など発見

 東京・港区は約150年前に築造された鉄道遺構「高輪築堤」を8、9日、一般公開する。区の教育委員会は9月以降、遺構の残存状況を調べるため、JR品川駅と同高輪ゲートウェイ駅の間の9カ所で調査を実施。公開対象はそのうちの1カ所で、公開が終われば埋め戻す。時間は両日とも午前9時~午後3時。参加無料。申し込み不要で、直接現地に赴く。
 3日に報道機関向けの見学会を開いた。所在地は高輪ゲートウェイシティー第II期工事エリア(5、6街区)。高輪ゲートウェイ駅の南西に位置する。遺構は1872年に日本初の鉄道として開業した新橋・横浜間の構造物の一部。うち約2・7キロの区間は、用地の確保が困難だったため海上を通っていた。周辺は19世紀のうちに埋め立てられ、現在は地中に堤が残っている状態だ。
 区は9カ所を掘って調査し、石垣の築石や裏込め石、盛り土の一部などを確認した。調査結果を踏まえ、今後文化財としての価値を評価する。埋め戻しの前に、174平方メートルの範囲を掘削した「トレンチ1」の内部を公開する。
 5、6街区の北側では高輪ゲートウェイシティーの建設が進む。南側ではJR・京浜急行電鉄の駅施設などを含む「(仮称)品川駅街区地区」の開発が進展。今後5、6街区でも大規模開発が始まる見通しだ。
 JR東日本の担当者は調査結果に対し「大変意義深い結果だ」とした上で、「文化財とまちづくりの両立にはさまざまな形がある。有識者や行政の助言をいただきながら、検討していきたい」と話した。
 遺構は高輪ゲートウェイシティーの開発区域内でも見つかっている。同社は一部を保存し、一般の人が見られるような形で公開する考えだ。
 一般公開の詳細は区のホームページ(https://www.city.minato.tokyo.jp/)へ。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169467
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回転窓/被災地の冬と教訓

 石川県輪島市の「白米千枚田」で10月中旬から翌年3月中旬までの期間に毎年行われてきたイルミネーションイベント「あぜのきらめき」。今年は能登半島地震と豪雨被害で中止となった▼イルミネーションの電飾は、新潟県小千谷市のイベント「オヂヤホタル」に転用された。2004年10月の新潟県中越地震から20年がたつ同市は能登半島での復興を願い、希望の光をともすことにしたと聞いた▼能登半島地震を教訓にした防災・減災対策を検討してきた中央防災会議のワーキンググループ(WG)が報告書を先週まとめた。耐震対策やインフラ整備、道路啓開体制などの強化・充実を求めている▼全国各地で発生する災害にすぐさま応じる国・地方自治体の職員や関連工事の従事者らの活動拠点を確保することなども提言。元日の発災直後から多くの関係者が厳しい寒さと降雪という過酷な環境下で、十分休む間もなく緊急対応に奔走したためだ▼冬を再び迎えた被災地では復旧・復興工事が続く。年の瀬に現場で奮闘する工事関係者の安全と健康、被災地の早期復興を願う。次なる災害には教訓を生かし、万全を期したい。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169464
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日建経会長・中村信吾氏(中村建設代表取締役会長)が死去/業界の持続的発展に尽力

 日本建設業経営協会(日建経)会長で中堅ゼネコンの発展に尽力してきた中村建設(浜松市中央区)代表取締役会長の中村信吾(なかむら・しんご)氏が1日、死去した。78歳だった。通夜は8日午後6時から浜松市中央区城北2の26の57のパルモ葬祭浜松貴賓館で。葬儀・告別式は近親者で行う。喪主は長男の誓志(せいじ)氏、施主は同社社長の仁志(ひとし)氏。
 静岡県出身。1969年年高崎経済大学を卒業し、73年中村建設取締役、79年代表取締役副社長、85年社長。2015年から代表取締役会長を務めてきた。
 業界活動では日建経副会長を経て、21年会長に就任。技術や経営の革新、カーボンニュートラル(CN)の実現などさまざまな課題に対し、中堅ゼネコンが機動力を発揮して取り組んでいくことの必要性を訴え、業界の持続可能な発展に力を注いだ。建設業労働災害防止協会(建災防)副会長なども務め、労働者の安全確保や労働災害防止に注力した。08年に黄綬褒章、18年に旭日双光章を受章した。
 地元・浜松の地域振興にに向けても精力的に活動した。新たな魅力づくりに内陸舟運を生かそうと、08年に浜名湖地域舟運都市構想研究会を発足。代表として観光業、遊船業などの関係者や学識者、行政と連携しながら取り組みを展開してきた。
 語り口は穏やかだが信念を曲げない芯の強さがある経営者で、俳句をこよなく愛する人でもあった。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169469
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国交省/改正業法で12月創設の技術者兼任ルールを具体化、連絡員の柔軟配置可能

 国土交通省は改正建設業法の今月中旬の施行分として創設する現場技術者の兼任制度の運用ルールをまとめた。監理技術者や主任技術者の専任が必要な現場で、特例的に兼任を容認する8項目の要件を具体化。例えば現場状況を確認するICT機器は一般的なスマートフォンなどで構わず、監理技術者などをサポートする「連絡員」は複数人を配置し柔軟に運用する方法を認める。低層マンションやリニューアルといった小規模現場が点在する場合にメリットが大きい制度になりそうだ。
 政省令で定める8要件を満たすレベル感や留意点を解説する「監理技術者制度運用マニュアル」の改定案を明らかにした。今月中旬の法施行に合わせ政省令とともに正式に公表する。
 兼任可能な特例のうちICTなどを活用する新たな制度を「専任特例1号」、監理技術者補佐を専任で設置する既存制度を「専任特例2号」と位置付け、両制度を併存させ運用する。特例1号と同じ要件で、営業所専任技術者による専任現場1カ所の兼任も可能とする。
 マニュアル改定案によると、工事途中で請負金額や下請次数の要件を逸脱した場合、以降の特例活用は認めない。兼任する2現場のうち一方が専任不要であっても全要件を満たす必要があり、その場合も2現場を超える兼任はできない。
 連絡員の定義や役割も明確化した。災害・事故対応時を含む円滑な施工管理の補助役として、例えば工程会議や品質検査が2現場で同時進行する場合、監理技術者などが遠隔から指示した内容を現場側に適切に伝達するなどの役割を想定。各工事に配置する際、1人による複数工事の掛け持ちや、1工事への複数人の配置を認める。施工管理の最終責任を請負会社が負うことを前提に、正社員に限らず出向社員や派遣社員の配置も可能とする。
 ICTの活用は「施工体制」と「現場状況」の二つを遠隔把握できることを要件とする。現場作業員の入退場は建設キャリアアップシステム(CCUS)かCCUSとAPI連携したシステムによる確認が望ましいが、ほかのシステムも排除しない。映像・音声で現場状況を確認し双方向でやりとりできれば一般的なスマホやタブレット端末、ウェブ会議システムも許容する。
 特例1号の活用現場では施工管理の手段や人員配置に関する計画書の作成や保存が必要で、国交省が参考様式を示す予定だ。




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北海道建設部/23年度ICT活用工事受注者調査結果、課題は機器コストと技術者不足

 北海道建設部は、2023年度に試行したICT活用モデル工事の受注者アンケート結果をまとめた。作業の各段階で要した日数や人工数の定量的評価は、工事全般の平均値で従来施工より36%削減され、施工の効率化や労力の軽減などの効果が認められた。一方、未実施の理由では機器調達の費用増加や技術者の確保を課題に挙げる意見が多く、費用助成制度の導入・拡大を求める声が多くなっている。
 同部では、国によるi-Constructionの取り組みの加速などを踏まえ、17年2月に「建設現場のICT活用に関する北海道の取組方針」を策定し、18年度から施工前を含めた建設生産プロセスの5段階でICT施工を活用する全面的なICT活用工事を試行導入した。22年度からは一部プロセスでの活用を可能とする部分的なICT活用工事、23年度には設計データ作成と出来形管理・納品に特化した簡易的なICT活用工事を導入し、取り組みを拡大していた。
 今回のアンケートは23年度内に完成したICTモデル工事の受注者を対象に実施し、34件の回答を得た。回答者のうちICT施工を実施したのは18件、未実施が16件だった。
 調査結果を見ると、実施工事18件はすべて土工(道路・河川・砂防)で舗装はゼロ。使用したICT建設機械はマシンガイダンス(MG)バックホウが14件、マシンコントロール(MC)バックホウが7件、MCブルドーザーが1件だった。活用計測技術はUAV(無人航空機)が11件、レーザースキャナー(LS)が5件などとなった。
 定量的評価では、各段階(事前準備段階、施工段階、提出書類作成段階)でICT施工で要した日数と主作業員数、補助作業員数を、従来施工と比較。屋内作業(内業)時と屋外作業(外業)時に分けて集計した。
 内業の事前準備段階で日数が31%増、主作業員が32%増となったほかは、内業、外業ともすべての段階で日数、主作業員、補助作業員のすべてが従来施工より削減された。
 内業では補助作業員の人工が事前準備段階で51%減、施工段階で77%減、提出書類作成段階で50%減とすべての段階で半減した。
 外業では事前準備段階で日数が38%減、主作業員が53%減、補助作業員が49%減。施工段階で日数が34%減、主作業員が46%減、補助作業員が45%減とすべての工程で日数、人工とも縮減している。
 日数と人工を合わせた平均値は内業が43%減、外業が28%減、全体平均は36%減となった。ICT活用工事のメリット(複数回答)については全18工事が「作業効率の向上」と回答し、そのほかにも施工精度の向上や安全性の向上などが挙げられた。
 一方、未実施者に聞いた未実施の理由では「重機や機器のレンタル費用などでコストが増加する」が7件、「3Dデータ作成者やオペレーターなどの技術者が確保できない」が6件と上位を占める。今後の普及に必要なことの質問でも「機器類の調達に係る費用助成制度の導入・拡大」が14件、「人材育成に係る費用助成制度の導入・拡大」が10件となっており、機器調達のコストと技術者不足に課題がある結果となった。




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東京都/防災都市づくり推進計画の基本方針案、25年早期に提示

 木造住宅密集(木密)地域の改善などを定めた「防災都市づくり推進計画」の改定に取り組んでいる東京都は、同計画の新たな基本方針案を年明けに示す。建築物の不燃化や防災機能を備えた公園整備などに対するサポートを拡充する。能登半島地震では木密地域で発生した火災が燃え広がり被害が拡大した。都内に残っている木密地域の解消を加速し、被害を抑えたい考えだ。
 小池百合子知事が3日に開いた2024年第4回都議会定例会で明らかにした。小池知事は「都においても『燃えない・燃え広がらない』まちづくりのさらなる強化が必要」と強調。安全・安心な都市づくりをさらに推進する考えを示した。
 防災都市づくり推進計画は、延焼遮断帯の形成のほか緊急輸送道路の機能確保など、都市構造の改善に関する施策推進を目的に定めている。「基本方針」と「整備プログラム」で構成。基本方針は、防災都市づくりに関する施策の指針や目標を提示している。
 整備プログラムは、直近では20年度末に改定した。不燃化対象地域を「木密地域」「整備地域」「重点整備地域」の3層構造に分け、各地域ごとに対策を展開している。最優先で不燃化が必要な重点整備地域では、建て替え費用の助成のほか固定資産税の減免措置など講じている。




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国交省、人材協/建設人材育成優良企業表彰式開く、国交大臣賞に4社

 国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協、事務局・建設業振興基金)は2日、第3回「建設人材育成優良企業表彰」の表彰式を東京・霞が関の同省で開いた。高橋克法国交副大臣が国交大臣賞に輝いた▽小川工業(埼玉県)▽大和ハウス工業(大阪府)▽東亜グラウト工業(東京都)▽ヤマグチ(鹿児島県)-の4社に表彰状と記念品を手渡し、栄誉をたたえた=写真。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した処遇改善や働き方改革などの先進的な取り組みを評価した。式典後には担い手の確保・育成の現状について懇談し、高橋副大臣は「有望な担い手をこの国のためにも確保していかなければならない。皆さまの取り組みを多くの経営者に知ってもらいたい」と述べた。
 小川工業の小川貢三郎社長は、技能者の就業履歴を全現場で蓄積できる体制を整備し「現場の職人が評価されることが重要」と話した。男性社員の育休を推奨し、取得率100%を達成したことも紹介した。大和ハウス工業の河野宏上席執行役員技術統括本部副本部長は、全国で稼働する膨大な現場数に対応するためスマートフォンによる顔認証の入退場システムを展開していると説明。CCUSレベル別の手当を給付する社内制度「技能者キャリアアップ制度」を2025年4月に創設するとした。
 東亜グラウト工業の山口乃理夫社長は、労使の協力で働き方改革を推進し、講話や研修などで「キャリア自律」を支援していると紹介。若手社員などの意欲を引き出すことで個人のステップアップや離職率の低下などにつながっているとした。ヤマグチの山口克典代表取締役は、建設ディレクターを積極的に導入し社内の業務効率化を進めるとともに、社員の資格取得費用を負担したりブランディングに取り組んだりして「建設業の魅力向上につなげていく」と話した。




from 行政・団体 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169465
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大阪府/池田保健所移転建替、緑化計画を継続審議

 大阪府が計画する池田保健所の移転建て替え事業が、府の景観審議会公共事業アドバイス部会の対象事業として新たに加えられ、11月19日に第1回会合が開かれた。府と基本設計を担当している相和技術研究所が、外観にアースカラーを採用することや敷地内の緑化計画を説明し、委員から意見を受けた。2025年度での継続審議となった。
 池田保健所は1960年度の完成から60年以上が経過し、老朽化や手狭な状況が進み、地域保健活動に影響を及ぼしている。このため池田市医師会館跡地(池田市鉢塚1)への移転新築を計画。府の資料によると、新施設はRC造4階建て延べ1743平方メートル、最高高さは約18メートル。
 基本設計を25年2月25日の納期で現在作成中。今後、25年度当初予算に実施設計の委託費を盛り込み、相和技術研究所と随意契約する予定。着工は26年度後半になる見通しで、28年度中の完成を予定。総事業費は21億円超を概算している。
 会合では計画地の背後にある五月山など北摂山系の景観区域に配慮したデザインや緑地の配置計画を提示した。具体的には▽敷地沿道は緑化し、山並みの緑との連続性を保つ▽交差点部や道路に面して、高木・中木・低木をバランス良く配置する▽敷地周辺の建物とボリューム感・色調をそろえる▽北側住宅への日影を配慮し、建物を南側に配置する▽計画地西側の公園と連続した緑化-などに取り組む。
 委員からは「敷地内外の緑化をさらに具体化すべきだ」「周辺地域との調和を強化すべきだ」といった意見が出された。駅から施設までの動線の安全性や交通量への配慮も求められた。
 府は委員の意見を踏まえ、基本設計をさらに精緻化し、次回会合で対応状況を報告する。




from 工事・計画 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169456
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愛知県武豊町/公共交流拠点基本構想案、新庁舎・保険センターは33年度供用目指す

 愛知県武豊町は、「武豊町公共交流拠点基本構想案」を公表した。武豊中央公園南側の公共機能集積エリア内に老朽化した役場庁舎と保健センターを移転新築し、併せて民間提案施設などを整備することで住民が集い交流を育むエリアとするまちづくりを進める。このうち新庁舎と保健センターの公共施設は2033年度の供用開始目標を示し、25年度に基本計画の策定作業に入るとした。
 公共交流拠点の整備エリアは約5・4ヘクタール(半田消防署武豊支所のエリア除く)。計画では役場庁舎と保健センターは合築して敷地南側に配置。武豊港線から視認性が良い敷地北側には集客効果の高い民間提案施設を配置する。役場庁舎・保健センターと民間施設との人の流れをつなぐ交流施設も計画する。誰もが自由に利用できるフリースペースや天候に左右されず親子で遊べる屋内遊戯スペースなどの機能を想定しているが、公共・民間の施設的位置付けは未定。民間提案施設の内容によって今後、検討する。
 役場庁舎と保健センターの公共施設については今後の整備スケジュールも示した。25年度から基本計画の策定に入り、機能や規模、整備手法などを検討し27年度中に策定する。引き続き27年度に基本・実施設計をスタートする。30年度に着工し、33年度の供用開始を目指す。
 造成などの基盤整備は25年度から設計を進め、市街化調整区域内地区計画などの法的手続きの完了後に工事着手する。
 民間提案施設も並行して事業スケジュールや事業スキームなどの検討を進め、より良い官民連携手法の可能性を探っていく。




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2024年12月3日火曜日

日建連/日建連表彰2024表彰式開く、土木賞12件・BCS賞15件の受賞たたえる

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は11月29日、土木、建築両分野を対象にした「日建連表彰2024」の表彰式を東京都港区のThe Okura Tokyoで開いた=写真。土木分野の優れたプロジェクトや構造物を表彰する第5回「土木賞」は12件、国内で建設した優良建築物を表彰する第65回「BCS賞」は15件が受賞した。宮本会長が関係者に表彰状を授与し、功績をたたえた。
 冒頭あいさつした宮本会長は「日建連表彰は良質な社会資本や優れた建築物を創造し、その実現に寄与した方々の功績をたたえるもの。日建連では日建連表彰の知名度向上に取り組んでおり、建設業関係者の間で日建連表彰の価値が高まってきていることを大変うれしく思う。建設業界を代表する表彰制度として定着・発展するよう研さんを積み重ねていく」と語った。
 土木賞とBCS賞の選考委員を代表し、京都大学の木村亮名誉教授と東京大学の稲山正弘名誉教授が講評した。
 受賞者を代表し「東海道線支線南2地区路盤新設他工事狭隘(きょうあい)近接東海道本線営業線直下での交差部桁受替・直下切換工事」で土木賞を受賞したJR西日本の森清裕与之大阪工事事務所長は、橋脚の先端の許容変位幅が12ミリ、工事桁撤去にかけられる時間が15時間という難工事のポイントを説明。その上で「施工時間が最短となる施工計画を検討し、検証を重ねて実施工に臨み切り替えを実現できた。これらはすべての関係者が相互に協力し、取り組んだ成果だ」と語った。
 続いて「ところざわサクラタウン」でBCS賞を受賞したKADOKAWAの夏野剛社長は、建物の竣工時期とコロナ禍が重なったことなどを受け開業後、一部用途を変更したことについて「建てたときと違う用途にした点を評価され、うれしく思う。非常に苦心し、方向転換しながら運営してきた」と喜びを語った。今後の建物の活用に当たっては「サステナブルな建築物になるという確信を持っている」と力を込めた。




from 行事 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169446
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回転窓/土木構造物の聖地巡礼

 標高3000メートル級の北アルプスを貫く立山黒部アルペンルート。富山県側の立山駅(立山町)、長野県側の扇沢駅(大町市)間の総距離37・2キロメートルを、さまざまな交通手段で乗り継ぎながら景勝地を見て回ることができる▼戦後、富山県が産業・経済発展のため大規模な開発計画を策定したことを機に、世界有数の山岳観光ルートの整備事業が始動。1971年に全線開業し、立山黒部の秘境に広がる大自然や黒部ダムなどの観光資源へのアクセス手段が確立された▼一般車両が通行できず、移動にはバスやロープウエー、全線地下式のケーブルカーなどを利用。先月末まで国内唯一のトロリーバスが立山トンネルで運行されていたが、更新期を迎える車両の維持が難しく、来季から電気バスに切り替わる▼アルペンルートでは黒部ダムと扇沢駅間を結ぶ関電トンネルでも2018年までトロリーバスを運行。十数年前に乗車した際、難工事が強いられた破砕帯区間を青色のライトで照らしていたことが思い出される▼ルート沿いには土木史に残る構造物が数多い。建設産業の魅力発信の聖地として、これからも多くの人が訪れよう。




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スコープ/燈の建設業特化型管理業務DXサービス、地場ゼネコン中心に拡大

 AIスタートアップの燈(東京都文京区、野呂侑希代表取締役兼最高経営責任者〈CEO〉)が展開する建設業に特化した管理業務DXサービスが、地場ゼネコンを中心に広がっている。協力会社からの受領請求書や発注、経費精算、見積もりの処理という4サービスを用意。ユーザーは約400社に伸びた。港湾工事などを手掛ける東組(和歌山市、東宗弘社長)は2023年に導入。請求書回覧に伴う移動がなくなり、現場監督員の負担軽減や生産性向上につなげている。
 ◇請求書・発注・経費精算・見積もりで作業効率化
 燈が手掛ける「Digital Billder(デジタルビルダー)」は、22年6月に請求書を対象に開始。同10月に発注と経費精算を、今年9月に見積もりを追加でリリースした。一つだけでも複数を組み合わせて導入することも可能。データや操作方法は各サービスで統一されている。複数を併用すれば、データ連携が可能となる。
 基本料金が設定されており、処理件数などに応じて課金する仕組みになっている。見積もりの依頼や受領、工種細目ごとの発注、工事・工種などに応じた請求書処理、一般経費と現場経費を区別しての経費精算などができる。オンライン上で完結するため、書類の運搬や整理、入力といった手間が不要となり、業務を効率化する。消費税のインボイス(適格請求書)制度や電子帳簿保存法にも対応している。
 請求書サービスは、協力会社からの請求書の受領や承認・保管が対象。協力会社からは、従来通り作成した請求書をPDFにして送信するだけで電子化できる。PDF化の代行も行っている。
 発注サービスでは、オプションとして電子契約機能を用意。建設業関連の契約書の承認・送付を電子的に行える。協力会社は無料で利用でき、収入印紙代を不要にできる。経費精算サービスは、社員からの領収書の受領・承認・保管が対象。見積もり処理サービスでは、依頼から見積書の受領、実行予算への反映、相見積もりまで完結できる。
 各サービスとも顧客からの指摘や要望を踏まえ、改善や拡充を続けている。デジタルビルダー事業の責任者である石川斉彬執行役員AISaaS事業部長は「建設業に特化しているからこそ、かゆい所にまで手が届くように速いスピードで変えていける」(石川氏)。現在は4サービスだが、新サービスとして勤怠管理と原価管理の開発にも着手している。中長期的にはAIによるデータ活用を見据える。蓄積データを学習して書類の仕分け作業を半自動化したり、過去の記録などを参照して見積書の妥当性判断を支援したりするような拡張などが想定される。
 デジタルビルダーは、口コミで広がるケースと、建設業協会の後押しを得て利用が拡大するケースがあるという。石川氏は「日本最高レベルの頭脳が集まっている自信がある。建設会社の力を借りながら業界のことをもっと勉強し、より良いサービスにしたい。地域の皆さんが使っているような状態にしたい」と話す。

 □東組(和歌山市)/23年7月に導入、無駄を無くしてより良い業界へ□
 「現場の監督員の負担軽減が喫緊の課題だった」。東組の東宗弘社長はデジタルビルダー導入前の状況を、こう説明する。同社では現場担当者が現場から本社に戻ってきて、協力会社からの紙の請求書を確認していた。片道1時間かかるような現場もあるため、夜に戻ってくるケースが多く、複数の現場が重なり“チェック渋滞”が起きていた。
 そうした課題意識があったタイミングにデジタルビルダーを知り、建設業に特化しているのであれば効果的だと判断。23年7月に請求書サービス、今年4月に発注サービスをそれぞれ本格導入した。
 東組の宮本志郎土木部課長は「現場監督者がものすごく楽になった。会社に戻る時間を違う業務に充てられると好評だ」と話す。操作方法も簡単で、協力会社への浸透も早かったという。「社内で取り入れから2カ月目に協力会社に対応を依頼した。半年かかると思っていたが、3カ月目には使いこなせていた」(宮本氏)。指定書式がなくても利用できる点もメリットに挙げる。東直也取締役社長室長は「中小建設業の悩みも情報収集した上でのシステムになっている」と評価する。
 建設業に限らず多くの産業で人手不足が課題になっている。東社長は「単なる移動は一番無駄な時間。無駄なことをやると人が離れる」との危機意識を示した上で、「少しでも楽になるように、建設業界全体を変えていくべき時期に来ている」と訴える。




from 論説・コラム – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169439
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原眞一氏(元コーナン建設社長)が死去/日建経などで中堅ゼネコン発展に尽力

 コーナン建設(大阪市北区、原恭平社長)の相談役で、同社社長や会長を務めた原眞一(はら・しんいち)氏が11月25日に死去した。76歳だった。団体活動では日本建設業経営協会(日建経)会長などを歴任。中堅ゼネコンの立場から建設業界の発展に尽力した。葬儀は近親者で済ませた。後日、お別れの会を開く。
 原氏は兵庫県出身で、1970年に甲南大学経済学部を卒業後、三洋電機を経て、76年にコーナン建設に入社した。専務営業本部長兼東京支社長や代表取締役副社長を経て94年に社長に就任。2018年に会長となり、今年6月から相談役を務めていた。
 業界の発展にも力を注いだ。日建経では13年から21年まで会長を務めた。地域に根差した中堅ゼネコン同士だからこそ密に情報交換や議論を行えるという「日建経の強み」を最大限生していく方針を掲げ、会員メリットの向上などに取り組んだ。全国建設業協会理事や大阪建設業協会副会長も務めた。22年秋の叙勲で旭日中綬章を受章した。
 懇親会などで困難な点も含めてざっくばらんに周りと意見を交わしていた。常に前向きな姿勢で周囲に元気を与える人だった。




from 人事・動静 – 日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=169437
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近畿整備局/自治体の用地職員16%減で全国平均上回る、厳しい実態浮き彫りに

 近畿地方の自治体では公共用地取得業務を担当する職員の減少が続き、全国平均の減少率を1ポイント上回るペースで進行している。近畿地方整備局の調べによると、近畿管内での市町村の用地職員数は2010年度の383人から23年度には321人へと約16%減少(全国平均約15%減少)した。加えて、これら団体の7割近くが用地職員を確保できていないという厳しい実態が浮き彫りになった。
 調査では三重県を含む近畿2府6県の市町村240団体(政令市除く)の用地職員数を集計した。10~23年度の推移を見ると、14年度に312人と大幅に減少した。その後は増減を繰り返しているが、23年度現在も10年度比で減少が続いている=グラフ参照。用地職員が「ゼロ人」の自治体は20年度時点で161団体(67・1%)に上り、「1~2人」が31団体(12・9%)と続く。10人以上いる自治体はわずか5団体(2・1%)にとどまった。
 近畿整備局の中見大志用地部長は「担当職員がいない、あるいは1~2人しかいない団体が多数を占めている。このままでは用地取得業務の遂行に大きな支障を来す恐れがある」と懸念を示す。用地取得が滞れば公共事業が進まず、地域の経済や人々の生活に重大な影響を及ぼしかねない。
 とはいえ、少子化で全体の職員数が減少傾向にある中、抜本的な対策を講じられないままいる自治体は少なくない。一方で用地取得事務を負担と感じている自治体に対するアンケートでは、その理由として「マンパワー不足」のほかに「業務量の増加」を挙げる団体が多かった。全国的な傾向でもあるが、近年の災害復旧事業や所有者不明土地の増加が現場の負担をさらに深刻なものにしている。
 中見部長は「団体ごとに異なる課題があるが、共通するのは『人員不足』と『専門性の欠如』だ。自治体単独での解決は難しいだろう。社会情勢の変化にも対応しつつ、サポート体制を充実、強化しなければならない」と言及する。
 近畿整備局は24年度に国の機関や府県、政令市、関係士業団体で構成する「近畿地区土地政策推進連携協議会」の下に全国初となる「府県別意見交換会」を設置し、地域ごとの課題を共有する取り組みを始めた。
 9月に初会合を開いた大阪府の意見交換会では、都市部特有の所有者不明土地の効率的な活用や公共用地取得体制の強化で意見を交わした。和歌山県では災害対応力向上を目的とした地籍調査の推進などがテーマとなった。さらに京都府では都市部と山村部の特性に応じた地積調査方法が検討されるなど、地域の実情に即した議論が進んでいる。
 意見交換の成果は24年度中に整理し、25年度以降の深掘りにつなげるという。自治体が直面する課題の解決へ、全国の先行事例として、実効性のある改善策をどのように具体化していくかが注目される。




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国交省/i-Con・DX推進企画委員会開く、多様人材に魅力ある現場へ議論

 国土交通省は産官学で構成する「i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム」の全体調整を担う企画委員会の会合を2日に開いた。i-Conの取り組みの裾野を広げる方策とともに、建設現場に限らずインフラ関連のデータ活用などを推進するインフラDXの方向性について有識者に意見をもらった。国交省はi-Con2・0に対応した取り組みの進捗状況を把握する指標の案をいくつか例示し、アウトカム(発現効果)志向で建設現場の省人化を目指していく考えを示した。
 冒頭、国交省の国定勇人政務官はi-Con2・0を通じ「建設現場の省人化を進め、若者や女性を含む多様な人材にとって一層魅力的で持続可能な建設現場を構築していきたい」とあいさつ=写真。委員長を務める小宮山宏三菱総合研究所理事長は「膨大なインフラを今後、日本がどう維持していくか、AIなどのすさまじい進化を捉えながら考えていきたい」と話した。
 i-Con2・0の指標は直轄土木工事のICT施工ステージ2や自動施工の実施率、先進現場の省人化効果を検証し通常のICT施工との「省人化比率」をはじき出す案を提示。単位労働者・時間当たり付加価値額から建設現場の生産性を検証する方法も示した。
 国交省は解決すべき課題として、大企業と中小企業だけでなく中小企業間でもi-Conの取り組みが2極化していると指摘。ICT施工で機器などのコスト面や技術者の経験不足が障害となる実情を説明した。




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東京都/中央卸売市場に太陽光パネル、25年度に導入可能性調査

 東京都は中央卸売市場のゼロエミッション化に向けた取り組みを2025年度に始める。卸売市場に太陽光パネルなどを設置できるかどうか調査。最新の再生可能エネルギーの技術動向も調べ、必要な設備を配置し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につなげる。都が掲げる「カーボンハーフ」(30年までにCO2排出量を00年比で50%削減)の実現も後押しする。
 都中央卸売市場は25年度、「再生可能エネルギーマネジメント事業」を新たに始める。同年度予算に関連経費として1500万円を要求した。
 卸売市場は冷蔵設備が多く、市場自体の規模も大きいため、電力需要が旺盛。これに伴い温室効果ガスの排出量も多い。都の担当者によると太陽光パネルを設置している卸売市場は「豊洲市場のほか食肉市場など3カ所」という。他の卸売市場にも太陽光パネルを広げるため、まずは必要な調査を行う。具体的な整備スケジュールは未定だ。
 都は「中央卸売市場経営計画」(22~26年度)で、40年代までに全ての卸売市場で再エネ100%による電力調達を目指している。市場施設の維持更新のタイミングで太陽光発電装置を導入。加えて「とちょう電力プラン」の活用など、市場業者と調整しながら再エネ電力を調達する方針だ。
 とちょう電力プランは、都内で発電した再エネの固定価格買い取り(FIT)制度で買い取り期間が終了した電力(卒FIT)を含む、再エネ100%電力を都有施設で活用する取り組み。
 都が設置した冷蔵庫設備に関しては、計画的に地球温暖化計数(GWP)の低いグリーン冷媒を使った機器に更新。民間の市場業者が所有している冷蔵庫設備も、環境に優しい機器への更新を促す。




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契約変更協議の促進措置施行へ/中建審総会で受発注者ら、信頼醸成へ前向きな姿勢

 国土交通省が2日に東京都内で開いた中央建設業審議会(中建審)総会=写真=で、改正建設業法・入札契約適正化法(入契法)で今月中旬に施行する「恐れ(リスク)情報」を起点とする契約変更協議の円滑化措置を巡って、契約当事者間の適切な価格転嫁への期待や、実効性の高い運用を求める声が挙がった。建設業団体は民間を含む発注者への周知と建設Gメンによる指導などを国に要請。発注者の立場からも、改正法に適切に対応するため受発注者間の信頼関係をさらに醸成していくべきだとの前向きな意見表明もあった。=2面に関連記事
 改正業法の施行は国の調査などを規定した9月に続く2回目だが、実質的な規制措置の施行は初めて。受注者に契約前のリスク情報の通知を義務化し、注文者にリスク発現時の誠実な協議対応を努力義務化する。
 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は、改正法に基づき業界として価格変動リスクの適切な分担に努めるとし「発注者にも同じ認識の下、受発注者間でコミュニケーションを促進し、ウィンウィンの関係を構築するようお願いする」と強調。「建設業法令順守ガイドライン」などによる運用ルールの明示が施行直前となり、準備不足に「不安を感じている」としつつ、特に民間発注者などが適切に対応できるよう周知や支援、配慮を国に求めた。
 宮本氏は、改正法で請負代金などの「変更方法」を契約書の法定記載事項と明確化したことから「建設工事標準請負契約約款(標準約款)改定で算定方法の具体化などが必要」とも主張。国交省は法施行後に標準約款の改定への検討を本格化する意向を示した。
 誠実協議を発注者に義務化する公共工事を巡っては、スライド条項の適切な運用で注文があった。日本電設工業協会(電設協)の文挾誠一会長は、同条項の適用根拠に客観性の高い統計データしか認めないケースがあると指摘。電力制御盤のような特注品では対応が難しく、メーカー価格の改定データなどの活用にも配慮を求めた。国交省は同条項の運用基準が限定的とならないよう働き掛けるとした。
 発注者の立場となるJR東日本の小山宏常務執行役員は、資材価格や労務費の高騰対応で「協議を円滑に進めるには受発注者間で契約の透明性を高め、信頼関係を今以上に高めなければいけない」と話し、改正法を踏まえ積極的に情報交換やコミュニケーションを取っていく姿勢を示した。




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三重県多気町/統合小学校基本計画案、校舎棟は7800平米見込む

 三重県多気町は、「多気地域統合小学校建設基本計画」の案を示した。建設地は涵翠池の東側(相可)を想定する。敷地面積は4万平方メートル。校舎棟の規模は延べ約7800平方メートル、屋内運動場は1400平方メートル、グラウンドは1万6000平方メートルを見込む。
 多気地域小学校統合準備委員会で検討を進め、年度内の基本計画策定を目指す。
 相可、佐奈、津田、外城田の4小学校を1校に統合するため、新たな小学校を建設する。
 案によると、整備コンセプトには個別最適な学びと共同的な学びを実現する学習環境の整備や地域、社会と連携・協働できる共創空間の実現などを掲げる。校舎棟には普通教室や特別教室、管理諸室などが入る。学年団で集まることのできる広さの多目的オープンスペースも備える。環境負荷の低減を図り、ZEB Oriented相当の施設を検討する。
 建設予定地は民有地。造成で平場を確保する。校舎棟は北側を中心に配置し、屋内運動場と校舎棟の間には大屋根を設ける。グラウンドは南側に整備する。
 概算事業費は積算中。事業の安定性の確保や財政負担の軽減、工期短縮などの観点で事業スキームを検討し、民間活力の導入も視野に入れる。開校は2031年度を予定する。




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大林組ら/自動火薬装填システムを現場実証、遠隔での発破に成功

 大林組と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、慶応大学の3者は2日、山岳トンネルの「自動火薬装填(そうてん)システム」を現場で実証し、遠隔での発破に成功したと発表した。触覚を再現する技術を活用し、切羽から320メートル離れた遠隔地で火薬を装填、発破できることを確認した。今後は一連の作業を自律化する技術も開発し、安全性と生産性の向上につなげる。2026年度の本格実装を目指す。
 慶大が開発した「リアルハプティクス」という技術を活用する。同技術は、現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送。物体に触った時に感じる硬さや柔らかさを遠隔操作しているオペレーターの手元で再現する。ロボットアームで柔らかいものをつぶさずにつかめるなど、繊細な作業を可能にする。
 火薬は強く握ったり、押し込みすぎたりすると暴発する危険性があり、人による作業が中心だ。リアルハプティクスによる接触情報を生かし、ロボットでも火薬の装填に対応できるようにした。作業員が切羽位置のカメラ映像を基にリモコンを操作し、火薬の装填、発破までを遠隔地から完了。落石などによる事故リスクを減らす効果が期待できるとしている。
 大林組は、国土交通省中部地方整備局から受注した「令和4年度三遠南信6号トンネル工事」の現場で同技術の実証実験を行った。切羽から320メートル離れたトンネル坑外から火薬を装填し、発破することに成功した。
 ロボットを火薬の供給装置とも連動させ、紙巻きや粒状など複数の種類に対応できることも確認した。
 作業員はカメラ映像だけでなく、触覚でも現地状況を把握できる。大林組担当者は「映像で距離感がつかめなくなった際に、触覚がカメラを補填してくれることが分かった」と話す。
 今後は一連の作業の自律化を目指す。火薬を入れる穴の位置をカメラで検知し、装填作業を自律化する技術は開発済みで、現場実装に向けた試験を重ねている。将来的には大型重機の自動運転との連携や、火薬の脚線結線作業の自動化も視野に入れる。




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2024年12月2日月曜日

香川県/県立アリーナ(高松市)が竣工、設計はSANAA・施工は大林組JVら

 香川県が高松市のサンポート高松地区に建設してきた香川県立アリーナが11月29日に竣工を迎えた。RC・S造地下1階地上2階建て延べ3万1212平方メートルの規模で、瀬戸内海に浮かぶ小島のようにメインアリーナとサブアリーナ、武道施設の3棟が並ぶ。設計・監理はSANAA事務所、施工は建築が大林組・合田工務店・菅組JV、電気設備は四電工・三和電業JV、空調設備は三建設備工業・三喜工事・雉鳥工業JV、給排水衛生設備は三宅産業・織田設備JVが担当した。
 同日、現地で開かれた竣工式には県や設計、施工関係者ら約30人が出席。池田豊人知事は式辞で「県民の皆さま、多くの皆さまに長く愛され親しまれる施設になれば」と期待を込めた。松原哲也県議会議長は「全国の大規模アリーナに負けず劣らずの機能性と利便性を兼ね備えている」と太鼓判を押した。大西秀人高松市長は「有機的な曲線が描く美しいフォルムは穏やかな瀬戸内海や周囲の街並みとも見事に調和し、新たなランドマークとなる素晴らしい建築」と評価した。
 設計、施工者を代表し、SANAA事務所の妹島和世主宰は「三つのホールを既存の多目的広場を囲むように配置した。瀬戸内海の島々のように高松駅から多目的広場、親水公園、港、瀬戸内海まで穏やかに連なるところに大きな公共空間ができることを目指した」と設計の狙いを説明した。同事務所の西沢立衛主宰は「特徴的な大屋根は海からも、街から見てもここだと分かる象徴性を目指した。軒を出し、イベント時だけでなく閉館時にもくつろいだりできるみんなにとっての公園のような場所になれば」と話した。
 穴吹エンタープライズを代表企業とする香川アリーナコンソーシアムが指定管理者を務める。竣工式では代表者らにより「あなぶきアリーナ香川」と記された看板の除幕も行われた。
 メインアリーナの固定席は5024席で広島グリーンアリーナ(広島市)の4698席を抜いて中四国最大となる。最大収容人数は同アリーナと同じ約1万人を誇る。2022年3月に着工した。総事業費約202億円を投じた。建設地はサンポート5ほか。
 オープンは25年2月24日。こけら落とし公演は、サザンオールスターズの全国ツアーの一環として3月1、2日に行われる。サザンオールスターズが高松で公演を行うのは40年ぶりとなる。




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回転窓/読み継がれる名著

 日本漢字能力検定協会が2024年「今年の漢字」を募集している。その年の世相を漢字一字で表すもので、今年も京都・清水寺で12日発表される▼昨年に最多得票を集めたのは「税」。インボイス制度の開始や税を巡る議論が盛んだった年であり、国民の関心や不安を反映する結果となった。これに2位「暑」、3位「戦」などが続いた▼さてこの1年の世相を一字で表現するのは難しいが、例えば一つ挙げるとしたら「新」。新紙幣発行や新内閣発足、米大リーグで活躍する大谷翔平選手の新記録達成など、いずれも今年を象徴する出来事と言えよう▼新1万円札の顔となった渋沢栄一は近代日本経済の父と称される実業家で、社会福祉事業でも大きな功績を残した。新紙幣の発行が直接的な経済効果だけでなく、より豊かで人にやさしい持続可能な社会の実現につながるよう願いたい▼渋沢の思想が書かれた『論語と算盤』は、企業が利益のみを追求せず、道理にかなう経営で社会貢献することの大切さを説いている。道徳と経済の両立とは--。変化が激しいこの時代に読みたい、そしてこれからも読み継がれていく名著である。




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凜/東京都下水道局・槍沢菜々子さん、粘り強く業務に取り組む

 中学生の時に地元の盛岡市で東日本大震災に遭遇した。鮮明に覚えているのは地震後、数年で堤防や道路などが再び整備された被災地の姿だ。「あんな大きなインフラが元に戻るんだ」と、テレビの映像にくぎ付けになった。防災・減災やまちづくりに興味を持つきっかけになった。
 規模の大きなインフラ事業をやってみたいと東京都に入庁。携わった業務に対し、充実感や達成感だけでなく悔しい思いもしてきた。2年目に担当した下水道管の更新工事がそれだ。工事監督として現場近くの住民に工事内容などを説明したものの着工の同意が得られず、工事を止めざるを得なかった。
 その後異動があり、後ろ髪を引かれる思いで部署を離れた。異動先では雨水専用管の設計がメインだが、住民との交渉役なども担った。管路の敷設工事では、資材を仮置きするため民地を借りる必要があった。借りられなければ工事の中断は確実だった。
 前の部署での経験を踏まえ、地主にはより丁寧に話した。「今までは目先の説明ばかりしていた。事業がなぜ必要なのかなど、より俯瞰(ふかん)して説明するよう心掛けた」。1回目の交渉でほぼ了解を得た。
 「最後まで諦めずに粘り強く取り組むこと」を心に留め、業務に当たっている。これまでさまざまな部署を経験し、必要な知識が増えてきた。今後は「周りをフォローできるようになりたい」と前を向く。
 東京都下水道局建設部土木設計課(うつぎさわ・ななこ)




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国交省/上下水道あり方検討会初会合/50年見据え将来像議論

 国土交通省は11月29日、「上下水道政策の基本的なあり方検討会」(座長・滝沢智東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授)の初会合を東京・霞が関の同省内で開いた=写真。2050年を見据えた上下水道の将来像と、それを踏まえた今後10年で取り組む上下水道施策の基本方針を議論。今後10回ほど会合を開き、25年6月ごろに中間取りまとめ、25年度内に最終取りまとめを行う予定だ。
 冒頭のあいさつで、松原英憲官房審議官(上下水道担当)は「これまで水道、下水道は別々に議論され、同じ土俵で議論するのはこの検討会が初めてとなる。専門の立場から、上下水道全体を捉えた意見をもらい、新たな組織である上下水道審議官グループの政策の羅針盤のようなものをまとめられればと考えている」との考えを示した。滝沢座長は「過去60年、日本は正しい方向を向いて投資し上下水道を作り上げてきた。積み上げてきた投資を無駄にすることなく、これからどのような上下水道がふさわしいかということを皆さんと一緒に議論していきたい」と述べた。
 検討会では有識者や実際に現場で上下水道事業に携わる事業者を招き、現状や課題の聞き取りを行うほか、施策の方向性などを議論。人口減少社会をはじめ、頻発化・激甚化する災害、地球温暖化など直面するリスクを踏まえ、国交省が今後取り組むべき基本方針を検討する。




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人・夢・技術グループ/海外連携領域に注力/ソフト分野強化や民間資金活用を活発化

 人・夢・技術グループは、海外連携領域の事業展開に一段と注力する。2030年度までに関連分野の売り上げを100億円程度に伸ばしたい考え。アジア地域の橋梁や鉄道などインフラ事業の強みを生かしつつ「地域開発もしないと経済振興できない」(永冶泰司社長)との考えに基づき、今後はまちづくりでのIT活用などソフト分野も強化する。民間資金を活用した事業も積極展開するほか、観光需要の発掘やプロダクツ事業の拡大も狙う。
 東京都内で11月28日に開いた2024年9月期決算説明会で永冶社長ら幹部が経営方針などを説明した。30年度を目標とした経営計画「長期ビジョン2030」の実現に向け、塩釜浩之常務は「特に伸びしろがあるのは海外領域」と強調。橋梁や鉄道などの事業に加え、アジア地域のまちづくりなどで人口増に対応できるソフト分野を開拓するための社内体制を固めている。ITを活用したまちづくりや交通計画などに注力する方針だ。
 ベトナムではグループの長大と長大基礎地盤ベトナムが、民間資金を活用した事業方式で行うサイゴン川に架ける歩道橋の事業化調査業務を受注している。井戸昭典専務は「円借款事業が縮小する中、民間資金を活用した事業が拡大する」と見る。「ベトナムをはじめ、それ以外の国でも民間資金の活用に積極的に取り組む」との意向を示した。
 永冶社長は、アジア以外の地域も含めた観光需要の発掘に期待を寄せた。長大がマダガスカルで受注している道路・橋梁維持管理能力強化プロジェクトに触れ、「(マダガスカルには)観光基地などの需要がある」と永冶社長。ハード事業との相乗効果を狙い、観光などのソフト面で地域を開発し経済を振興させる必要性を説いた。
 ここ10年程度で成果を上げているのが、道路標識に使う反射塗料などのプロダクツ事業だ。反射塗料は「既設の道路でも反射状況をつくれるので、引き合いは多い」(永冶社長)。国内のほか、海外ではフィリピンにも展開中。今後は海外での事業を強化したい考えだ。




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学研北生駒駅北土地区画整理(奈良県生駒市)/業務代行予定者を公募/準備組合

 奈良県生駒市の学研北生駒駅北土地区画整理準備組合は11月29日、業務代行予定者を選定する公募型プロポーザルを公告した。近鉄学研北生駒駅北側の森林や農地など約6・1ヘクタール(高山町・上町)を土地区画整理で開発し、商業・業務や住宅、宿泊施設の立地を目指す。事務局を務める生駒市学研推進課で2025月1月14~24日に事業提案書を受け付け、プレゼンテーション審査を踏まえ同2月5日に業務代行予定者を決める。
 同駅は奈良先端科学技術大学院大学や高山サイエンスプラザ、民間企業の研究施設などが立地する関西文化学術研究都市の高山地区に近く、市は第6次総合計画に基づき商業やサービス、交流拠点などの集積を計画している。
 対象エリアは市街化調整区域。今後、都市計画を商業地域と近隣商業地域、第1種住戸地域に変更する。高山地区の玄関口にふさわしいまちづくりの推進に向けて、6月に準備組合が設立していた。
 計画では区域内に駅前広場や都市計画道路、公園を整備するほか、宅地造成を行い、商業・業務施設や宿泊施設、住宅などを誘致する。
 業務代行予定者の業務内容は▽会議開催など準備組合運営▽補助金や負担金など関連業務▽測量・調査・設計▽本組合設立に向けた協議、認可申請など▽権利者の土地活用意向の把握▽土地の利活用と企業誘致などのコーディネート▽合意形成への対応▽事業認可に向けた資金調達-など。
 25年度に事業計画を検討し、地権者の合意形成を経て本組合の設立認可を申請する。設立後、業務代行契約を締結し、換地設計や造成、基盤整備の実施設計を進める。
 事業化検討アドバイザーは近鉄不動産、コンサルタントは昭和が担当。




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