高病原性鳥インフルエンザの発生件数が各地で過去最多を更新する中、地域建設業が防疫作業に全力対応している。年度末に工期末を迎える手持ち工事が停滞する可能性があり、今後の対応を不安視する向きがある。寒冷地では防疫対応と道路除雪に繰り返し緊急出動を余儀なくされるケースも見られる。地震や水害だけでなく防疫への対応も「地域の守り手」の重要な役割だ。建設業協会などと防疫協定を結ぶ地方自治体には、守り手を持続的に確保していくための施策や手厚い支援が求められそうだ。=2面に各地域の主な対応、4面に関連記事 農林水産省によると、19日正午時点で25道県の養鶏場などで飼っていた約1153万羽が殺処分対象。既に昨シーズン全体(2021年秋~22年春)の約189万羽を大きく上回り、野村哲郎農水相が「最大限の緊急警戒」を呼び掛ける。 発生地域に偏りはなく全国各地に広がっている。鹿児島県では「建設業界が人材や建設機械を投入し、優先的に作業に当たってくれた」(農政部畜産課)ことが奏功し、昨年までに県内過去最多の計約134万羽を殺処分した。 19日に約93万羽の殺処分を終えた茨城県城里町では「全国でも類を見ない規模」(大井川和彦知事)の防疫対応に約30の建設関係団体が協力した。青森、鹿児島、茨城など多くの知事が業界に謝意を伝えている。 地域建設業が各地で奮闘する一方、年度末にかけて懸念されるのが本業への影響。鳥インフルの発生件数がさらに増えた場合、業界からは「災害協力のケースと同様、(発注者に)工期延長などのお願いをすることになるだろう」「年度末の工事繁忙期と重なった場合の対応はその時点でどうするか考える」などの声が上がっている。 寒冷地では手持ち工事と防疫対応に、除雪作業も重なる。国内で過去最大規模となる約139万羽を殺処分した青森県三沢市では、昨年12月中旬から下旬にかけて約25団体が埋却や発生農場の消毒に協力。埋却作業を担当した上北農村整備建設協会(青森県十和田市 )によると、手持ち工事に加え防疫対応や道路の除雪に休日返上で緊急出動している作業員も多い。協会担当者は本業の停滞とともに、作業員に蓄積された心身の疲労をできる限り軽減するような配慮も求める。 地域の建設業界からは、防疫対応に尽力した建設会社の持続的な経営を後押しするため、地域の実情に配慮した予算配分や入札契約制度などでのインセンティブを求める意見も出ている。
24時間連続で防疫作業が続くことも(茨城県提供)source https://www.decn.co.jp/
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