2023年1月24日火曜日

福岡県/新美術館基本設計プロポ、隈研吾事務所が最優秀

福岡県は21日、福岡市中央区の大濠公園に計画する新県立美術館の設計者を選ぶ「新福岡県立美術館整備事業基本設計業務」の公募型プロポーザル(WTO対象)の4者による2次審査の公開プレゼンテーション・ヒアリングを行い、最優秀者に隈研吾建築都市設計事務所を選定した。今後、庁内で検討し3月には設計者を正式決定する。
2次審査は福岡市中央区の西鉄ホールで開催。会場とウェブ合わせて約500人が傍聴した。1者につき20分間のプレゼンと20分間の学識経験者らでつくる選定委員会(委員長・宮城俊作東京大学大学院教授、7人)による質疑応答を行った。その後の採点で1位と2位の点差が25点以内だったため、決選投票を行い5票を獲得した同事務所が最優秀者となった。
最優秀者の提案は、4階建てで主構造は国宝や国指定重要文化財を展示できる公開承認施設の要件を満たすRC造、開放性が必要なエントランスやロビーはS造を採用。
県産木材を活用した深い庇(ひさし)が特徴で、建物北側の大濠公園の景観と東側の日本庭園に配慮し建物の最大高さは現在ある武道館と同じ21メートルに抑える。日本庭園に向かって徐々に建物高さをステップ上に低くすることで圧迫感を軽減。庇は日本庭園の借景となり、環境負荷も抑制する。機械室や収蔵庫などの搬入動線は西側にまとめ、将来的な増築にも対応しやすい造りとした。
内部は東西に伸びる吹き抜け空間の「メディアヴォイド」と、南の国体道路側の街と北側の大濠公園側をつなぐ通路である「アーバンスリット」を設けた。
1階にはアーバンスリットを挟んで西側に県民ギャラリーや多目的ルームなどを、東側にレストランとショップを配置。2階は常設と企画の展示室でそれぞれに大きさの違う作品に対応する天井高が4、6、8メートルの3部屋を連続して配置し一体性も持たせた。3階には展望デッキやライブラリーカフェを設ける。
地下1階と地上部の間に免震層を設ける柱頭免震構造を採用。屋上には太陽光パネルを設置するなど「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) Ready」認証の取得を目指す。
宮城委員長は「メディアヴォイドというアートと人のコミュニケーションスペースの在り方に強いメッセージがあった。公園と都市のつながりを考える上でも国体道路側から大濠公園側にかけて透過性の高い空間構成になっている」と講評した。
隈研吾建築都市設計事務所のパートナー、名城俊樹氏は「館の職員が使いやすく、さらには住民がどういう風に施設を使いたいかという考えを取り込むことでより良い施設になると考えている」と話した。
プロポーザルの次点にはASを選定した。
新美術館の規模は延べ約1万4000平方メートル。2025年度に設計を終え、26年度に着工し、28年度の完成、29年度の開館を目指す。

隈研吾事務所が提案した新県立美術館の模型

source https://www.decn.co.jp/

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