2023年1月20日金曜日

ゼネコン各社/九州で「地熱」利用、脱炭素社会へ地域資源生かす

ゼネコン各社が九州で地熱を利用する取り組みを進めている。西松建設は、熊本県小国町で地元企業から譲り受けた地熱発電事業を開始。大林組と清水建設は、大分県で地熱とその他発電を組み合わせて製造過程から二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」の出荷を九重町でそれぞれ実施するなど、地域資源を生かした活動を展開する。
大林組が九重町に建設した実証プラントでは、地熱発電とその他発電電力を利用して製造した「グリーン水素」を九州各地の需要先に供給する事業を2021年7月に開始。同県内で催された自動車レースに水素エンジン搭載車両で参戦したトヨタ自動車は、地産地消で製造されたこのグリーン水素を燃料として利用した。
清水建設はスギのチップ材と地熱水の蒸気をバイオマス資源に利用した低コストなグリーン水素製造技術を地元企業らと共同で開発。九重町に建設したプラントの実証運転を昨年8月から12月にかけて実施。安定的な稼働、製造コストやCO2排出削減率などを算定した報告書を3月中に環境省に提出する予定だ。この実証事業で得られるノウハウを生かした中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発に取り組むという。
西松建設が阿蘇を拠点とする石松農園(熊本県小国町、石松裕治社長)から事業を譲り受けた「わいたグリーンエナジー地熱発電所」は、温泉井戸の余剰蒸気を有効活用する温泉バイナリー発電所。西松建設はこれをパイロット事業と位置付け、地域と共存する地熱発電所の開発・運営ノウハウを取得してさらなる事業の推進を図る。
地熱発電発祥の地とされる大分県をはじめ、九州各地には源泉が多く地熱利用のポテンシャルは高い。この地域資源を50年カーボンニュートラルの目標達成に生かそうという各社の活動は、今後一層注目されそうだ。

大分県九重町に建設した大林組の実証プラント(21年7月撮影)

source https://www.decn.co.jp/

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