賃上げ企業を総合評価方式の入札契約手続きで加点する国の措置が、現行制度の大枠を変えずに2023年も継続することになった。財務省からの連絡を受ける形で、国土交通省が「大企業」で3%以上、「中小企業等」で1・5%以上と定めている賃金上昇率の目標値を23年も据え置くと省内発注部局に周知した。22年度の契約案件から適用が始まった賃上げ加点措置は実質的に2年目に突入する。
地方整備局など発注部局に継続した対応を求める事務連絡を12日に発出した。
国庫債務負担行為による複数年契約の工事案件を対象とした評価スキームが当初から実施要領に盛り込まれており、継続運用は既定路線と見られていた。一方、2年続けての賃上げ表明は企業経営への負担が格段に重くなり、「企業として努力はするが何年も続けられたら厳しい」という声も漏れていた。
建設業界からは現行制度の改善や見直しを求める声が後を絶たない。賃上げ実績の確認書類の簡素化や経営実態に即した柔軟な確認手法の充実に加え、物価高騰の現状を考慮した減点措置の緩和、賃上げ実施後を評価する「事後評価方式」への転換などの要望が寄せられている。中小企業が多い地域建設業への影響を考慮し、都道府県や市区町村の公共工事への対象拡大を憂慮する声も根強い。
今月からは1年目の賃上げ表明を暦年単位(22年1~12月)で行った企業を対象とした実績確認が始まった。国交省は評価方法を柔軟に選択可能とあらかじめ周知し、全社員への支給総額だけではなく評価対象を継続雇用の正社員に限定したり、時間外手当や賞与などを除いたりできると例示。企業ごとの個別事情に応じた選択を促し、円滑な確認手続きにつなげる。
source https://www.decn.co.jp/
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