2023年1月30日月曜日

風力発電導入、順調に拡大/ウインドファーム認証の審査期間短縮が課題

国内で風力発電の導入が順調に拡大している。日本風力発電協会(JWPA、加藤仁代表理事)によると、2022年末時点の累積導入量は479・5万キロワットで、10年末時点(233・6万キロワット)から2倍以上に進展。特に洋上風力発電は、官民共通の導入目標の達成に向け「日本版セントラル方式」の導入や排他的経済水域(EEZ)の活用を可能にする法整備の検討が進む。一方、事業者からはさらなる規制緩和を求める声が上がっている。

課題の一つが、ウインドファーム認証の審査期間だ。風力発電事業では建設に至るまでに、風況など現地条件の調査、それを踏まえた風車などの強度や安全性など設計上の確認(ウインドファーム認証)といった段階を踏む必要がある。
港湾内で洋上風力発電事業を推進する電力事業者は「ウインドファーム認証に時間がかかり過ぎる」と指摘。同認証は第3者機関が行うため、機関の種類や案件ごとに異なるが、審査に2~3年かかるケースもあるという。あるゼネコンの幹部も「施工者は資機材の調達計画を立てにくい。市場形成のブレーキになるのでは」と警鐘を鳴らす。
政府は同認証と、国の審査を一本化し手続きを簡素化するなど、審査全体で期間短縮に努めてきた。同認証の前段で行う現地条件の調査でも、政府が関与を強める日本版セントラル方式の導入で事業の迅速化を目指す。ただ、ウインドファーム認証自体への改革は手つかずの状態だ。
50年カーボンニュートラル(CN)を打ち出した菅政権から岸田政権へと変わり、再生可能エネルギー政策がトーンダウンしたと見る向きもある。同じ脱炭素電源に位置付けられる原子力発電への政策対応が強化されているためだ。一方、MHIベスタスジャパンのの山田正人社長は「(再エネと原子力は)トレードオフの関係ではない」と指摘。CNの達成には電源内でシェアを奪い合うのではなく、脱炭素電源全体での拡大を重視する。
そのためにも、再エネの事業を後押しする規制緩和、基地港湾など事業を下支えする基盤施設の整備を着実に進める必要があり、実現には官民の協力が不可欠といえる。政府は20年末を最後に開かれていない洋上風力に関する官民協議会について「時期は未定だが、開催しようと思っている」(資源エネルギー庁担当者)とし、連携強化に前向きな姿勢を示している。

風力発電の導入拡大にはさらなる規制緩和と官民連携が求められる(写真はイメージ)

source https://www.decn.co.jp/

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