2023年1月12日木曜日

建設環境研究所/コウノトリの3Dモデル製作、住民説明会など合意形成に活用

 建設環境研究所は自然再生事業が進んだ河川などをリアルにイメージできるツールとして、コウノトリの3Dモデルを製作した。生物に関する専門家が多い強みを生かし、実物に近いコウノトリを再現。河川整備に関する住民説明会などでの活用を想定する。河川のモデルに取り入れて住民や関係者の理解を促し、合意形成を後押しする。ほかの生物の3D化も検討中で、生物多様性関連事業の強化につなげる。  同社はコウノトリの3Dモデルを使った河川イメージの動画を、既に複数の業務で活用している。飛び立つ動きや、くちばしを合わせて音を出す「クラッタリング」など細かな動きにこだわったのが特長。既製品を購入せずに自社開発したことで、受注した河川整備関連業務だけでなく、環境施設や観光行事など幅広い場面に取り入れられる。  インフラ整備に関連した業務ではゲームエンジンによる3Dイメージの利用が進む。河川が氾濫したり、都市部が浸水したりした状況と、インフラ整備後の状況を3Dモデル内で再現。インフラ整備の重要性について理解を促すといった活用方法が多い。コウノトリの3Dモデル化を手掛けた河川計画部の佐野有子主任研究員は「防災などの視点からインフラを3Dモデル化する動きは近年見られる。だが自然環境の整備イメージや保全対象種のリアルな動きを最先端技術で可視化する取り組みは、全国でも少ないのではないか」と話している。  コウノトリは1993年に存続が懸念される「国内希少野生動植物種」に指定された。かつて関東平野にも生息していたので、関東地域の河川管理者などは河川整備を通じてコウノトリが生息できる川づくりに取り組んでいる。また人間の活動の影響を受けやすい生物でもあることから、全国各地で生物多様性のシンボルとしてコウノトリの生息できる環境整備が進む。

製作したコウノトリの3Dモデル。実物の動きをリアルに再現した(建設環境研究所提供)

source https://www.decn.co.jp/

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