2023年4月11日火曜日

自治体のインフラメンテ、新技術導入事例は3割/国交省22年度調査

インフラメンテナンスの効率化や高度化を後押しする新技術の導入が地方自治体で思うように広がっていない。国土交通省の2022年度調査によると、約9割の自治体が新技術を導入しようとする意識を持つ一方、実際に導入事例があるのは約3割にとどまった。背景にはメンテナンスに充てる予算や技術者の不足があると考えられる。特に人口5万人未満かつ土木技術者数5人以下・土木費年間10億円以下の小規模市町村は導入が著しく遅れている。
調査はインフラメンテナンスの「新技術導入状況等に関するアンケート」として、昨年9~10月に都道府県や市区町村の計1245団体に実施。このうち951団体が答えた。対象は▽道路▽河川▽ダム▽砂防▽海岸▽下水道▽港湾▽公園▽住宅▽空港▽その他-など国交省の所管施設。
新技術の導入事例状況は、「導入事例がある」(回答29%の271団体)または「導入検討中である」(32%の306団体)を合わせた前向きな回答が61%の577団体。一方、「導入予定がない」が39%の373団体、無回答が1団体だった。
この同じ設問への回答を小規模市町村に絞ると、回答300団体のうち「導入事例がある」18%の55団体、「導入検討中である」32%の96団体、「導入予定がない」50%の149団体となった。
新技術の導入や検討の障壁についても確認したところ、複数回答で「発注に係る知識を有する技術者不足」が最多の41%。次いで「新技術に係る予算不足」31%、「抱える課題の整理が不十分」21%、「新技術に対応できる受注者がいない」12%などと続いた。「新技術の歩掛かりがない」「現場条件や小規模構造物に有効な技術が少ない」「新技術の信頼性や性能評価の不足」などの意見も上がった。
この結果を裏付けるように、インフラメンテナンスに充てる土木技術者や土木費が多いほど新技術を導入する傾向も高いことが判明。新技術の「導入事例がある」と答えた自治体の割合を土木技術者数で比べたところ、5人未満(回答221団体)が約2割だったのに対し100人以上(65団体)が約6割。土木費で見ると5億円未満(143団体)が約2割で50億円以上(181団体)が約4割となる。
新技術の導入事例がある自治体に実際の効果も確認した結果、約3割が工事費を縮減。工期の短縮や作業の安全性向上といった回答も寄せられた。

source https://www.decn.co.jp/

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