大林組が東京都清瀬市の同社技術研究所内に建設していた3Dプリンターを使った建屋が完成した。セメント系材料を使った3Dプリンター建築物として、建築基準法に基づく国土交通大臣認定を取得している国内初の建物。3Dプリンターで常温硬化型超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」を充てんし、床版や壁を構築した。空調、衛生、電気設備を設け、耐久性、構造、環境性能の評価を行う。3Dプリント技術のPR施設としても公開する。
3Dプリンター建築「3dpod」は、独自開発した常温硬化型超高強度繊維補強コンクリートで地上構造部材をすべて3Dプリンターで建設した。平屋で床面積は約27平方メートルの規模。曲面を多用し、通常の建築物と同様の利用を想定したデザインにした。壁を複数層にしたことでケーブルや配管ダクトを配置でき、空調や照明、洗面などを設けている。
3Dモデルで設計・製作フローを構築し、建築・構造・設備の各設計と施工を連携させた。最少材料で最大の空間が得られるようにも設計。床版(基礎、屋上階)は外部で製作し、3Dプリンターを据え付けて壁を構築した。屋上階の床版を架設して、再び3Dプリンターで壁を築いた。天井のスラブは別の場所で事前にプリントし、力が分散するよう、力の流れに沿った形状の突起(リブ)を設けている。鉄筋や鉄骨を使わなくても強度を確保した。
3Dプリンターは、建設業で複雑な曲面などデザイン性の高い形状を製造できるだけでなく、材料を現地に運ぶだけで済み、建設時の二酸化炭素(CO2)排出量の削減や、自動化施工による省人化などの効果が期待される。同社は今後、今回の大臣認定の取得で得たノウハウを活用し、複数階や面積規模を拡大した構造物の建設につなげる。将来的には3Dプリンターを使った宇宙空間での建設など幅広い可能性を追求していく。
内部は空調、衛生、電気設備を備える
source https://www.decn.co.jp/
0 comments :
コメントを投稿