関東地方整備局利根川上流河川事務所は、新規事業化された「田中調節池」の再整備に着手する。越流堤と囲繞(いぎょう)堤のかさ上げや、越流堤の移設などにより洪水調節容量を現在の約6100万立方メートルから約7200万立方メートルに増やす。総事業費は約470億円。2023年度は地質調査や設計を進め、工事用道路の建設にも着手する予定。35年度までの完成を目指す。
田中調節池は利根川右岸の千葉県柏市、我孫子市にまたがる約1175ヘクタールの広大な敷地。洪水時の利根川下流部の河道流量を減らす目的で1933年に建設が始まり、65年に完成した。越流堤は延長約450メートル。排水門(青山水門)は幅4メートルの門を三つ備える。洪水時は、対岸の茨城県側にある稲戸井調節池、上流の菅生調節池と合わせて洪水調節機能を発揮する。
19年台風19号(東日本台風)が発生した際、3調節池を合わせて9000万立方メートル以上の水を一時的にため込み、下流の水位低下に貢献した。しかし下流部の一部で浸水被害が発生。利根川の河川整備計画に定めた目標河道流量に対し、流下能力が不足している部分があり、早期の河川改修が必要となっている。東日本台風では田中調節池が3調節池の中で最も貯水率が低く、能力を十分に発揮できていないと指摘された。
関東整備局は田中調節池の囲繞堤と周囲堤をかさ上げし、下流にある越流堤をより上流に移すことで洪水調節能力を高める。新規事業採択時の資料によると、工事内容は築堤1万5500メートル、排水門の改築1カ所、樋門・樋管の改築6カ所、越流堤移設1カ所、排水路整備4460メートルとなっている。築堤に用いる土砂は対岸の稲戸井調節池掘削で発生したものを活用する。
工事費の合計は251億5000万円。うち築堤に82億8000万円、越流堤移設に89億8000万円を見込む。維持管理費は50年間で135億4300万円と試算している。
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