回転窓／鳴かないウグイス

4月に入り、全国各地で統一地方選の選挙運動が本格化している。近所の桜並木通りを散歩していると、選挙カーから候補者の名前を連呼するウグイス嬢の声が響き渡っていた▼ウグイス嬢の由来は、野球の場内アナウンスを担当する女性を、マスコミがそう呼ぶようになったのが始まりだとか。春告げ鳥のウグイスが美声で仲間を呼び寄せる姿を重ねたのだろう▼選挙カーから沿道の人たちに声を掛ける車上運動員が男性の場合は、「カラスボーイ」と呼ばれる。その語源は、黒のスーツを着た人が多いからだそう。太く通った声のほか、選挙戦の街宣活動で声を「からす」といった駄じゃれで名付けたとする説も▼統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令市議選の立候補の届け出が3月末に締め切られた。道府県議選（定数2260）に届け出たのは3139人。このうち無投票当選者は565人で、総定数に占める割合は25・0％と過去2番目に高い（時事通信）▼地方政治の世界も担い手不足の傾向が一段と強まっている。ウグイスの鳴く機会がない選挙だとしても、当選者には市井の声にしっかり耳を澄ましてほしい。

source https://www.decn.co.jp/