地方自治体の建築工事で設計図書に不備があり、発生する余分なコストや工期によって施工者の負担増大を招いている。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調査によると、国土交通省や都市再生機構も一部含め公共発注機関全体の約6割の建築工事現場で同様の事例を確認した。特に自治体の現場で多く発生している傾向が明らかになった。
調査は2月、請負金額10億円以上の公共建築工事を施工する会員企業のうち大手24社に実施した。施工中の手持ち工事で昨年4月以降に契約した案件(対象59現場)が対象になる。
設計図書の完成度が低いため施工者に追加的な費用や工期の負担などを及ぼしているかどうか調べたところ、約6割に当たる36現場が「そうした事例がある」と答えた。地域ブロック別に見ても全ブロックで事例が確認された。
発注者別では都道府県(調査対象8現場)が7現場、市町村(25現場)が17現場で確認。国交省(5現場)も2現場、国交省以外の省庁(17現場)も9現場、都市機構など(4現場)も1現場で同様の事例が発生している。
日建連によると、設計図書の完成度が低いまま発注されると、施工会社が補完するため多くの費用と時間を費やすケースが見られる。近年は設計図書の完成度が著しく低下している傾向もあるという。2024年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制適用に対応する関連からも喫緊の改善が求められる。そのため日建連は22年5~6月に全国9地区で開いた国交省地方整備局など公共発注機関と開いた意見交換会で、土木分野の課題を原則話し合う場で初めて議題提案した異例の経緯がある。
日建連は15日から全国9地区で開く今年の意見交換会でもこの問題を取り上げる予定。国交省官房官庁営繕部が3月にまとめた発注者として対応すべき方針を踏まえ、引き続き発注者に改善を促していく。
source https://www.decn.co.jp/
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