大林組は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のシンボル施設「大屋根(リング)」のモックアップを、会場が設けられる大阪市此花区夢洲に組み上げて解体するまでの一連の試験施工を終えた。4月には貫(ぬき)構造の梁と柱を「リユース解体」する方法で分離し、資材を再利用する可能性を検証した。 大屋根は内側の高さが12メートル、外側は20メートルで、バンク状。幅は約30メートル。リングの直径は約650メートル、一周約2キロの世界最大級の木造建築物になるという。 モックアップには柱9本を含む68本の集成材を使用。高さが20メートルになる外側2スパンを試験的につくった。幅・奥行きとも7・2メートル。組み上げられてから約4カ月間、太陽の光や風雨にさらすことで耐候性などを確認した。 同社の関係者によると、解体は基本的に、組み上げの逆の手順で進めていった。まず屋根を含む「上部ユニット」を分割し取り外す。移動式クレーンで上部ユニットの重量を支え、地上から12メートルのレベルで柱をチェーンソーで切断していった。その後、分割された高さ8メートル、重さ12トン弱の上部ユニットを慎重に地上へ降ろした。 地上では「斜めサポート」という資材でつり下ろした上部ユニットを補強し、柱と直交する梁を横へと安全・迅速に抜く作業を行った。 次の解体作業は、上部ユニットが取り外された後に残る下部ユニット。転倒防止用の資材を柱間に備え付けて、柱の足下を切断した。「用」の字に似た柱梁の平面ユニット3枚をつくり、地上に横に倒した状態で梁を順次抜いていった。 大屋根などパビリオンワールド(PW)施設整備事業3工区を担うのは大林組JVを含む3JV。モックアップをつくることで大屋根に関わる関係者間で知見の共有ができたという。 同社関係者は「安全性を重視し、組み上げから、リユース解体までを試行できた。リングの実現に向けてさらに準備を進める」と語る。会場では大屋根の基礎工事に着手。7月ごろには巨大木造建築物の組み上げが始まる。
リユース解体作業(大林組提供) source https://www.decn.co.jp/
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