土木学会(上田多門会長)は22日、東京都内でシンポジウムを開いた=写真。「低炭素社会に向けたインフラのチャレンジ」と題し、講演や企業による技術発表、パネルディスカッションを実施。グリーンやデジタル、レジリエンスといった社会的要請に対応した「日本が選ばれる新たな海外インフラプロジェクト」の創成を目指し、低炭素社会に適応したインフラの方向性を探った。
冒頭あいさつした上田会長は「海外の建設工事が土木技術者から注目されていない。海外への情報発信にも国際共同研究にもあまり関心がないというのが、残念ながら日本の実情だ」と指摘。「カーボンニュートラル(CN)関連のインフラ整備は他国にとっても非常に魅力的なプロジェクトの一つだ」とし、シンポジウムの意義を強調した。
出席した国土交通省の吉岡幹夫技監は「新しい技術、イノベーションを国内だけでなく、海外にも適用することを想定した技術開発や技術基準の検討を進めたい。そのためには産学官が連携し、土木、建築問わずインフラ関係全体で取り組むことが重要だ」と述べ、土木学会の活躍に期待した。
オランダインフラ・水管理省のバーバラ・クイパース循環経済アドバイザーや国交省の佐藤寿延官房技術審議官による基調講演も実施した。クイパース氏は、道路建設でCN対応の建機や原材料を用いたり、使用しなくなった橋梁を別の場所で再利用したりする取り組みを紹介。循環型のインフラ整備を進める上で「産学官の協力が必要だ。イノベーションに向けたリスクを民間だけで取るのは難しい。政府の介入が求められる。知識の共有も重要だ」と語った。
佐藤氏は、治水と水力発電の機能を併せ持つ「ハイブリッドダム」、低炭素型の建機や二酸化炭素(CO2)吸収・固定化して製造するコンクリートの使用といった取り組みを紹介した。低炭素型の建機は従来製品よりも静音性が高く街中の現場で有効とし、「付加価値を見いだしながら、CNの達成を考えていくべきだろう」と私見を述べた。
source https://www.decn.co.jp/
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