回転窓／AIを使いこなす素養

「人間とのコンビネーションによって、（新しい知を）生み出している。日常生活を相当変えるのではないか」。AI研究の第一人者である松尾豊東京大学大学院教授が話していた▼世界中を席巻する対話型AI「チャットGPT」のことだ。AI関連サービスを展開するPKSHA Technologyが主催した対談での一こま▼松尾氏は「一時的なトレンドではなく、いろいろな形で広がる」と指摘する。巨大IT企業らのAI開発競争が過熱している状況に対し、「強さとは速さなのだと再認識した。スピードが大事だと言っていた自分は遅かった」とも▼AIが人類の脅威になるとの懸念も広がる。欧州ではチャットGPTの利用を一時禁止する国が出始めた。一部のAI開発を中断して安全管理のルール作りを求める声も上がる▼期待と不安が入り交じるが、一般市民も自覚的にAIを利用する時代に入ったことは事実。インターネットやスマートフォンを一度使うと手放せないように、AI利用の拡大は不可逆的とみる向きは強い。より良い未来につなげるためには、使いこなす側の素養が問われていくのだろう。

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