2018年5月24日木曜日

【回転窓】浸水から親水へ

川の近くに住んでいると、天気が良い休日などにふらりと河川敷に出掛けたくなる。広々とした空の下、ビールを片手に読書をしたり、家族や気心が知れた仲間とたわいのない世間話で盛り上がったりするのは、何ともぜいたくなひとときだ▼憩いの空間も悪天候になるとその様相は一変する。荒れ狂う濁流を目にすると身の毛がよだち、実際に多摩川も暴れ川として度々、猛威をふるってきた。変化の契機になったのは1914年のアミガサ事件だ▼堤防決壊などで苦しんできた地域住民らが編みかさをかぶって神奈川県に押し寄せ、築堤工事の実施を直訴。この出来事を契機に改修工事が決まった。着工は18年。同じ年には荒川上流部でも近代改修が始まった▼地道に治水対策を進めたからこそ、豊かな水辺が楽しめる。改修から100年を迎えた多摩川と荒川上流部では、国土交通省や関係自治体らがイベントを計画しているそうだ▼水害対策の重要性を認識してもらいながら次の100年を見据えて議論を深める。浸水への恐れではなく、親水による豊かさが前面に出てくることが大事。川を考えるよい機会になってほしい。

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