出張でインドを訪れた際、仕事の合間にタージ・マハルを訪れた。総大理石造りの巨大建築は存在感があり、思わず息をのんだ▼当時の権力者が妃(きさき)の墓として17世紀半ばに造らせた建造物は、多くの人を引き付ける魅力がある。建造物のみごとさに加え、長い歴史が遺産の価値をさらに高める▼現地の人たちには観光客を呼び込む地域資源であり、遺産を次代に受け継ぐ保存・補修活動に官民で取り組む。世界遺産の価値を守ることと観光振興を両立させることは大きな課題だ▼首都デリー、タージ・マハルがある地方都市のアグラ、赤砂岩で彩られ「ピンクシティー」の呼び名で知られるジャイプールの3都市を結ぶ路線は、インド北部の「ゴールデン・トライアングル」として目玉の観光ルートになる。沿線では旅客移動の円滑化に向けた高規格幹線道路の整備・拡充が進む▼トライアングルの底辺に位置するルートの有料道路事業に東日本高速道路会社が参入する。日本で培った技術力や高品質のサービスなどを柱に支援を展開する。地域遺産として異国の交通インフラの価値を高める今後の取り組みに注目していきたい。
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