2018年5月22日火曜日

【段階開発で価値の最大化を】都有識者会議、築地市場跡地再開発で提言

豊洲移転後の築地市場跡地(東京都中央区)の再開発について検討する都の有識者会議は21日、街づくりの提言をまとめた。築地市場周辺のインフラの検討・整備状況などに応じた段階的な開発で価値の最大化を図る方針を明記。一貫したコンセプトで開発を進めるため、ガバナンス(統治)組織の設置検討も求めた。

 築地市場の面積は約23ヘクタール。再開発では長期的な時間軸を踏まえつつ、周辺地域との有機的な連携を図る。歩行者ネットワークの形成で広域的な回遊性を高め、近接する浜離宮恩賜庭園との連続性も確保する。10月11日に開業する豊洲新市場(江東区)の隣接地で整備を計画している商業施設「千客万来施設」との両立も図る。

 築地跡地が備えるべき空間のイメージも固まった。敷地西側は「A」空間とし、浜離宮との一体性を考慮した緑豊かな環境を創出する。都道環状2号の本線トンネルの開通から早期の整備着手を検討する。隅田川沿いの敷地南東は「B」に位置付け、水辺に開かれた空間を確保する。敷地中央の「C」には、広域的観点から東京の将来を担う機能を導入する。敷地北東の「D」では築地本願寺、場外市場、隅田川との連続性などに配慮する。

 こうしたコンセプトの実現に当たっては、開発当初からすべての内容を詳細に定めるのではなく、民間の提案を受けながら段階的に事業化していく方針を確認。既にあるさまざま築地ブランドを生かしながら、新たなブランドを生み出す。経済合理性に偏らず、文化的・歴史的価値が十分に生かされた開発を目指す。

 築地再開発検討会議の座長を務めた近藤誠一元文化庁長官は、「築地再開発は将来の東京にとって重要。世界も注目している」と強調。街づくりの大枠をしっかりと守るため、ガイドラインの作成とガバナンス組織の設置なども提言した。都は年度内をめどに、今回の視点に基づく街づくり方針を定める。

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