2018年5月7日月曜日

【駆け出しのころ】五洋建設常務執行役員土木部門担当(営業)・小辻昌典氏

 ◇成功体験を積み重ねて自信に◇

 若いころ旧建設省に勤めていた父は、技術職員として関門トンネルの建設工事に携わりました。家には施工中の写真が貼られた厚いアルバムがあり、小さかった私に見せながら「俺にもこうしたころがあった」などと話していたものです。これが土木の世界に興味を持つきっかけでした。

 入社の面接試験では、採用担当者から「五洋建設はスエズ運河も掘っている」と教えていただきました。本来なら事前に調べておくべきだったのですが、海外でも積極的に事業展開していることを知り、「すごい会社だな」と感じました。その場で「スエズの砂になる覚悟で頑張ります」と言ったのを覚えています。でも入社試験で英語の成績が悪かったのか、海外勤務になることはありませんでした。

 入社して最初に配属されたのは福岡支店大分出張所です。20代半ばまでは忙しい現場へ応援に行くのが主な仕事で、数カ月ごとに現場を移動していました。一つの現場に長く勤務するのと違い、いろんな所長の下で働いたことでそれぞれの個性や現場運営のやり方が分かり、よい勉強になりました。ある離島の工事を担当した時は、私が職長役を兼ね、職人さんたちにどうすれば効率的に作業できるのかを教えてもらいながら施工しました。この経験も大きく、その後に自分の現場力として大変役立ちました。

 初めて赴任した現場では、上司の誘いでゴルフを始めたのも思い出の一つです。入社早々のまだボーナスをもらえる時期でもないのに、ゴルフ好きの所長から言われるがままボーナス払いでクラブを買いました。現場事務所にある小さな練習用ネットで夜も練習しましたが、初めて参加した現場のコンペで散々な結果に終わり、随分と悔しい思いをした記憶があります。

 20代後半は石油備蓄基地と液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の桟橋工事に1年半ずつ携わりました。続いて名古屋支店で担当した火力発電所のLNG受け入れ桟橋工事では、実質の責任者として現場運営を任せていただきました。計画から2年かけて完成までこぎ着けた時の達成感は今でも忘れられません。

 現場を19年勤め上げた後、営業を担当することになりましたが、私自身、多くの方々に助けてもらいながらやってこられました。誰にも弱みはあるものです。強みはもっと生かし、弱みについては周囲の協力を得て解決していけばいいのです。

 若い人たちには少しずつ成功体験を積んでいってほしいと思います。まずは達成できそうな高さのハードルを乗り越えてみる。高くなくても一つ一つのハードルを一生懸命に乗り越えていく。この積み重ねが自信となっていくはずです。

 (こつじ・まさのり)1981年福岡大学工学部土木工学科卒、五洋建設入社。名古屋支店川越火力発電所4号系列LNG受入桟橋工事監理技術者、同土木営業部営業課長、同土木営業部長、同次長(土木統括)、執行役員名古屋支店長などを経て、18年4月から現職。福岡県出身、59歳。

現場事務所で行っている安全管理の打ち合わせ(左から2人目が本人)
現場施工には入社から19年間携わった

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