2018年5月18日金曜日

【回転窓】土木離れに歯止めを

土木分野の優れた技術や業績、プロジェクトを顕彰する「土木学会賞」に今年は過去最多の111件が選ばれた▼応募総数は昨年とほぼ同じにもかかわらず、受賞件数は10件以上増えた。技術賞は応募12件のすべてが受賞し、高難度の地下プロジェクトが目立った。審査員の一人は「世界がまねできない日本の土木技術の一つが地下構築技術。インフラの輸出を支援する上で日本技術のPR効果も考慮した」と選考の内幕を明かす▼華やかな技術賞の裏で気になったのは論文の応募数の少なさ。コンクリート分野を対象にした吉田賞の論文部門は該当なしに。新技術の開発や既存技術の海外展開の理論的根拠となる論文の減少は技術立国を標ぼうする日本の成長戦略に影響を及ぼしかねない▼土木学会は来年、若手研究者の論文を対象とする吉田研究奨励賞応募の年齢上限を35歳から40歳に引き上げる。ただ論文が減ったのは研究者の減少が主因。年齢引き上げは果たして応募増につながるか▼若年層の土木離れに歯止めを掛け、研究者をどうやって増やすのか。本質的な議論の活性化には土木学会の主導的な役割が欠かせない。

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